南十字星の下で生まれ北斗星下で育ったキンシャサノキセキが
彼自身の現役時代の竹で割ったような鮮烈なレースぶりからは
産駒たちも烈しい気性に任せたスピード一本槍かなと思えば、
そうとばかりは言えないほど実に良い味を出しています。
もしかしたら、この仔は天才種牡馬なのかもしれません。
ご記憶でしょうがラストランの高松宮記念を連覇して即移動、
その4日後には早々と北海道の社台スタリオンにスタッドイン、
まだ現役競走馬そのものと言って良い筋骨たくましい馬体と
荒々しい精神のままに種牡馬生活をスタートさせています。

種付けシーズンも後半、慌ただしい新生活だったでしょうね。
この年は154頭に種付けし、翌年94頭が無事誕生しています。
その中の1頭が今週のアイビスサマーダッシュのサフィロス。
昨秋以来のレースになるので半信半疑の今回ではありますが、
持ち前のスピードと切れ味が生きる展開なら、そんな気も。
緊急赴任の慣れない種牡馬生活でこれだけの仔を出すのだから
種牡馬として成長し完成し成熟したらと密かに思っていたら、
2年目産駒のシュウジが先日のOP中京2歳Sを楽勝しました。
父が跳ね返され続けたマイルの壁をいとも簡単に超えました。
一介のスプリンター種牡馬では終わらないのかもしれません。

フジキセキのオーストラリアシャトル時代の産駒なのですが、
この年のフジキセキには南十字星の加護があったのでしょう、
ドバイシーマクラシック勝ちサンクラシークも出しています。
フジキセキの血は母系次第、調教次第で距離をこなす産駒も。
キンシャサノキセキは曽祖母レディベリーが名競走馬でした。
3100mのロワイヤルオーク賞の勝ち馬であると同時に母として
当時3000mで施行されたパリ大賞のラナインジューヌを出し、
その妹インディアンローズはヴァルメイユ賞を制しています。
割り切って言えばステイヤーの名門ファミリーの出身ですね。
代が下ると(つまりキンシャサノキセキに近づくにつれ)次第に
中距離の名馬グルームダンサーや仏2000ギニーのファルコなど
スピード優位家系へ徐々に微妙な変化を遂げていくのですが、
いずれにしろ走る一族であるのは間違いがないでしょう。

キンシャサノキセキはあり余る天賦のスピードを制御するには
気性が激しすぎたがゆえにスプリンター人生を送りましたが、
サンクラシークのような仔が出て不思議はない血筋でしょう。
サフィロスやショウジがそれに当たるか分からないのですが、
もしかしたら天才種牡馬かもしれない、その可能性を秘めた
異形の血を長い目で観察していきたいと思います。