昨日のG2デイリー杯2歳Sは伏兵タガノエスプレッソが

渋いレースぶりで抜け出し勝利を収めました。

これで今年の2歳重賞は1番人気が9連敗、勝てません。

それは置いておいて、ブラックタイド産駒というのが

とても新鮮です。こういう血が頑張るのは嬉しいです。

 

ご承知のようにディープインパクトの全兄です。

今ではディープの兄貴が通り名になっていますが、

かつてはディープがブラックタイドの弟と真逆の

呼び方をされていたものです。懐かしいですね。

生まれついての好馬体の持ち主で牧場の評価も高く、

当歳のセレクトセールでは1億円を超える落札額でした。

弟ディープが7000万円で競り落とされたことを思えば、

この黒鹿毛の仔馬への期待がどれほどのものだったか、

想像していただくのは難しくないでしょう。

 

兄弟揃ってまったく同じ道を歩むことになります。

池江泰郎厩舎に入厩、金子真人さんの勝負服で武豊騎手、

スプリングSを勝って、クラシック路線に乗ります。

しかし屈腱炎との戦いを粘り強く続けているうちに

弟がアレヨアレヨの快進撃、お先に種牡馬入りします。

その後の弟の無敵のサイアーぶりはご存じの通りです。

 

弟から遅れること2年、09年にブリーダーズスタリオンへ

スタッドイン、全弟効果もあって非常な人気を博します。

初年度産駒からデイリー杯2歳Sのテイエムイナズマ、

2年目のマイネルフロストは毎日杯を勝ち、ダービー3着、

弟に交配される繁殖牝馬の質を考えれば頑張っています。

タガノエスプレッソは3年目産駒で3世代連続の重賞制覇、

これは相当に立派です。来春はもっと評判が上がりますね。

 

しかし兄弟に偉大な馬がいると大変です。

競走馬時代はともかく、種牡馬としては最大のライバル、

あらゆる面で比較され競合させられることになります。

最近ではフランケル、ノーブルミッション全兄弟が好例。

天翔るスピードと瞬発力を持つ怪物フランケルに対し

弟は長めの距離で持久力を試すレースを使われます。

なかなか勝ち切れず苦労を重ねましたが、一度として

掲示板を外さなかったのはさすがに血統馬です。

転機は今年、馬主カリド・アブデューラ殿下の主戦に

名手ジェームス・ドイル騎手を迎えたことでした。

 

彼はどこか煮え切らず不完全燃焼に苛立つ良血馬に

2000mの距離で逃げ先行のレースを教え込みました。

ノーブルミッションは驚くべき覚醒を示します。

試しに10ハロンのG3を使うと9馬身の差をつける圧勝、

続くG3も楽勝して臨んだG1タタソールズゴールドCで

同じガリレオ産駒の強豪マジシャンを破る大金星!

こうなると勢いが止まりません。繰り上がりとはいえ

サンクルー大賞を制し、引退レースの舞台はアスコット。

 

世界一のレーティングで英国最高賞金のチャンピオンS、

兄フランケルも有終の美を飾った伝統のレースでした。

直線で壮絶と観客に息を呑ませるほどビッシリ叩き合い、

追うアルカジームに遂に一度も抜かせないでゴールします。

G1は3勝目、頂上決戦で達成したのは立派すぎる勲章です。

ノーブルミッションは胸を張って牧場に戻ります。

ただ殿下は偉大すぎる全兄との競合を避ける配慮をして

アメリカに渡っての種牡馬生活のスタートになるようです。

ブラックタイド、ノーブルミッション、偉大な兄弟と

比較される不遇を乗り超えて大成してほしいものです。