ディープ伝説は終わらない

年明けからディープインパクトに不幸が重なっています。ダービー馬ワグネリアンがサラブレッドには珍しい胆石で不慮の死を迎えたかと思えば、今週はアイルランドから名牝スノーフォールの突然すぎる訃報が届けられました。2歳時は平凡な“一流半”ホースの印象だったのに、ディープらしくクラシックの蹄音が間近に迫る3歳春に突如覚醒!英オークスを名手ランフランコ・デットーリの手綱に任せるままに16馬身の歴史的圧勝劇を演じます。一度騒ぎ始めると、簡単には治まらないのがディープの血。愛オークスは8馬身半、古馬相手のヨークシャーオークスも4馬身と他馬を寄せ付けないパフォーマンスで、“名牝の証”トリプルオークスを3連勝しました。ディープインパクト史上最大の“最高傑作”の称号をあげて良いと思います。ディープが立派なのは言うまでもありませんが、ガリレオの血を継ぐ母ベストインザワールドも偉いものです。1歳上の全姉ファウンドは、エイダン・オブライエン厩舎の同じガリレオ産駒3頭が1-2-3フィニッシュを決めた凱旋門賞の晴れ舞台において、真っ先にゴールした名牝として世界中にその名を轟かせています。

ベストインザワールド自身、2400m戦線の出世レースとして高名なG3ギヴサンクスSを勝っており、良血馬らしい素質の片鱗を披露していました。使い込まれてもへばらないフィジカルとメンタル両面のタフさは、この名牝系を脈々と貫き、スノーフォールへと伝えられていたのは間違いありません。オブライエン師が現役競走馬としては無論、とりわけ繁殖馬のカテゴリーで、“Massive Loss”(取り返しがつかない甚大な損失)と彼女の悲運の死を惜しむ気持ちも分かります。しかしクールモアのサラブレッド資源は無尽蔵とまで思える奥行きを備えています。スノーフォールという現在までの最高傑作を失っても、彼女を超える可能性を秘めた後継たちが控えているのには、思わず羨望(せんぼう)の深い溜め息に駆られます。

この世の奇跡としか考えられないのですが、名馬ディープインパクトと名牝マインディングの出会いから生まれた、日本とイギリスの年度代表馬同士の超ゴージャス配合の明け2歳牝馬は、クールモアの調教場であるバリードイルで順調に調教を積まれています。マインディングは2歳時にモイグレアスタッドSとフィリーズマイルの牝馬2大G1を勝ち抜く仕上がり早さを見せ、3歳時には1600mの1000ギニー、2400mのオークス、古馬が相手のプリティポリーS、ナッソーSの2000m級G1とカテゴリーの枠を超えて“3階級制覇”の金字塔を打ち立てています。これだけの名牝の相手として白羽の矢が立てられるディープインパクトという存在も、つくづく凄いと思います。

残念ながらディープは受胎できなかった牝馬たちも、ロードカナロアなど日本を代表する名血を受け継いでいます。イギリスとアイルランドの両1000ギニー、ロイヤルアスコットのマイル女王決定戦コロネーションS、古馬とのナッソーSを4連勝したガリレオっ娘ウィンターは、マインディングほどのスケールを望むのは野暮でしょうが、一代を築き上げた女傑と評価されて恥ずかしくない破格の蹄跡です。この仔も競走馬として大望を抱ける資質の持ち主でしょうし、繁殖牝馬としても洋々たる未来を感じさせてくれます。2022年、この年がそのスタートを記すメモリアルイヤーにならないでしょうか?
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