“怪物二世”出現!

世界の競馬の円滑な運営を推し進めるIFHA(国際競馬統轄機関連盟)が昨年一年間に行われたレースと、そこで走ったサラブレッドのパフォーマンスを集計・分析してランキング化した結果を発表しました。前者は世界各国のG1レースの1〜4着馬の平均レーティングを基準にベスト100レースをランクしたものです。後者は高級時計のロンジン社がスポンサードして個々のサラブレッドのレーティングを比較するもので、これまでの歴代最高は2012年に怪物フランケルが記録した140ポンドとされています。あれから10年経ったのですが、フランケルを超えるのはおろか、それに近づくのも程遠い状況が続いてきました。ところが、昨年2022年は突然、怪物二世が大西洋を挟んだアメリカとイギリスから同時に出現して、ファンを歓喜とか驚嘆とか以前に、その勝ちっぷりの破天荒さから、まず唖然とさせました。

アメリカのデルマーのダート2000mで行われたG1・パシフィッククラシックSを舞台に、春先にドバイワールドC王者に輝いたカントリーグラマーを子供扱いにして19馬身余りのブッチギリ!信じられないものを見せられました。この世界を驚倒したフライトラインに140ポンドの評価が与えられファンを二度ビックリさせました。ちょうど10年前に怪物フランケルに驚愕に尊敬を添えて贈られた世界最高レーティングと並ぶ高評価でした。今後、世界中のサラブレッドたちは、芝ならフランケル、ダートならフライトラインの140ポンドを至高の目標としてレースに臨むことになります(従来の141ポンドから後に3ポンド減に修正された1986年の凱旋門賞のダンシングブレーヴも付け加えるべきでしょうが)。

ラストランの英チャンピオンSこそ4着と不可解な敗戦を喫したバーイードですが、それ以外はデビューから10戦10勝、G1を6連勝と文句のないパフォーマンスを、世界中のホースマンの眼に忘れようがないほど鮮明に焼き付けました。IFHAはG1・インターナショナルSで世界最高賞金サウジC覇者ミシェリフを馬なりで6馬身半下した彼の走りに135ポンドを贈呈しています。もしチャンピオンSで有終の美を飾っていたなら、彼の評価は限りなくフランケルに近づいたに違いないでしょう。前出フライトラインもそうですが、我々は2022年に、歴史上それほどまでに傑出したサラブレッドと同時代を生きていたことになります。

突然のように噴出した二大怪物による“黄金時代”ですが、しかし逆に彼らの影響力が強烈すぎて、全体像がぼやけてしまう現象も生みました。ベストテンにランクインしたレースのうち8つまではフライトラインかバーイードの怪物二強のいずれかが出走したレースで、彼らの走りがレースレベルに甚大な影響を及ぼしたかを物語っています。彼らが走らなかったレースは相対的に順位を落とす結果になっています。日本関連では、21年の天皇賞(秋)が全体の4位だったのに対して、昨年は皐月賞の15位が最高順位でした。差なくジャパンC、天皇賞(秋)、有馬記念、ダービーまでひと塊となって続き、トップクラスの格を誇るレースがそれなりのレベルを保っていたことを証明しました。ただ、このあたりが分かり辛いと言えば分かり辛いのですが。単純化して言えば、フライトラインとバーイード両雄は既に引退し、今シーズンも現役を続行するのは、離れた126ポンド評価とはいえ3位にランクされた日本馬イクイノックスに熱い視線が注がれます。短距離王国オーストラリアが生んだ名スプリンター・ネイチャーストリップも同等の126ポンド評価ですが、チャンピオンディスタンスで王道を進むイクイノックスが、2023年は世界の競馬シーンのリーダーシップを握ることになりそうです。
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