アーモンドアイの贈りもの

年が明けると北の大地から仔馬たちの産ぶ声が伝えられたりするようになります。近年は、いわゆる“ダービーからダービーへ”という番組体系が確立され、新馬戦のスタートがダービーの翌週と早まったこともあって、気のせいか1月生まれ、2月生まれが増えて、余計に馬産地だよりも賑やかに感じられます。早く生んで、早く仕上げて、できる限り早い時期に賞金を加算して、じっくりとクラシック本番に備えるのがトレンドのようですね。とは言うものの、一般論としてはそうなのですが、まだ1月には仔馬の成長の糧となる青草は生えていません。まして1頭1頭が異なるイキモノのことですし、その成長カーブとなると神秘の領域ですから、現実は人間の思惑通りに動いたりしません。昨年のダービー馬ドウデュースは5月と遅生まれでした。

アーモンドアイの次男坊が無事に産まれたそうです。初仔の長男はエピファネイア産駒でしたが、この仔はモーリスの息子となります。共通点はサンデーサイレンス4X3の“奇跡の血量”の持ち主であり、伸び伸びとしたフットワークから繰り出す豊かなスピードと鋭い瞬発力を受け継いでいる(と期待される)のがセールスポイントでしょうか。父のエピファネイアとモーリスは、ともにロベルト系の父系に、母系はサドラーズウェルズ持ちと非常に似通った血統構成を抱え込んでいます。このサドラーズウェルズの母フェアリーブリッジは、アーモンドアイ内に5X3のクロスが存在するヌレイエフの半姉であり、共通の母である歴史的名牝スペシャルを祖と仰ぎ見る絆に結ばれています。近代競馬のメッカ・ヨーロッパを中心に歴史の歯車を前に進める原動力となって来た血統です。

スペシャルのクロスと言えば、“日本発”の歴史的名配合と世界中のホースマンから絶賛されたエルコンドルパサーが思い起こされます。日本人ホースマン渡邊隆さんが渾身を傾け、父キングマンボ(母父ヌレイエフ)と母サドラーズギャル(母父サドラーズウェルズ)との間に、スペシャル4X4に加えその半妹リサデルを“隠しクロス”として忍ばせる精巧なカラクリ人形を思わせる血統構成は、アメリカの競馬専門誌が『フェデリコ・テシオ、マルセル・ブサックに続く比類なき配合』と絶賛したほどの“銘品”でした。凱旋門賞で当時の世界最強馬モンジューと一騎討ちを演じたエルコンドルパサーの“底力”が、どこから湧き上がって来たのかを世界中が思い知らされました。後日談になりますが、この“エルコン配合”をモデルとした馬たちが世界のG1戦線で大暴れしたのも懐かしい思い出です。

ディープインパクト亡き時代に、“ポストディープ”の有力候補とされるエピファネイア、モーリスが、“サンデーサイレンス・クロス”の切り札に加えて、“エルコン配合”という必殺技を揃えて名牝アーモンドアイとの間に新時代を切り拓く仔馬を送り込んで来ました。ある意味、関係者の皆さんの危機意識の重大さを伝えるメッセージであり、そこまでしなければ超えられないディープインパクトの偉大さという名の壁高さであろうと思えてなりません。そう考えると、“ディープロス”の影響は、我々が推し量れる領域を軽く超えてしまっているのかもしれません。だとしても、だからこそ“アーモンドアイの贈りもの”を大事に育てることから始めなければ、としみじみ考えさせられたりします。
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