凱旋門賞前夜【前】

凱旋門賞まで後10日ほど、いよいよカウントダウンが始まりました。シーズン当初、ゴールデンウィーク明けに締め切られる第1回登録あたりから、ブックメーカー各社の前売りオッズの動きが活発化して行きます。各国ダービーやキングジョージ6世&クイーンエリザベスSといったビッグレースのたびに、オッズが上下しファンの“凱旋門賞モチベーション”を刺激します。レースごとの波乱の度合いや新たなヒーロー・ヒロインの出現などで、主役が目まぐるしく入れ替わるのは毎年のことですが、今年も例外とはならず“真のヒーロー”をめざして、それぞれに異なる強さを誇示する個性的なサラブレッドたちが、前売りオッズのリーディングボードを華やかに飾ってきました。まだシーズン中なのですが、ここまでのハイライトを振り返りながら、来るべき凱旋門賞をザックリ展望してみましょうか。

今シーズン最初のヒーローは、不敗のまま英ダービーを圧勝したデザートクラウンでしょうか?レジェンドとして高名なサー・マイケル・スタウト調教師にとっては、ワークフォース以来12年ぶり、通算4頭目のダービー馬です。そのワークフォースは日本馬ナカヤマフェスタを退けて凱旋門賞を勝っていますから、それ以上の期待が無傷のダービー馬デザートクラウンに寄せられたのも当然でした。しかし彼は軽い脚部不安を発症、大事をとって今季は全休して来季に備えることになります。残念ですが、これも競馬です。不敗の王者の復活を心待ちにするしかありません。ダービー馬と言えば、昨年の覇者アダイヤーも今季は使い出しが遅れに遅れ、ダービーを勝ち切るということが、まだ成長途上の若いサラブレッドに想像を絶するダメージを及ぼすかを教えてくれました。やっと今月に入って条件戦で復帰して凱旋門賞に滑り込みで間に合って良かったです。

デザートクラウンがリーディングボードから脱落して、新たに注目されたのが天皇賞(春)の圧勝に続いて、宝塚記念をレコード勝ちしたタイトルホルダーでした。ステイヤーは日本でもヨーロッパでも軽視されがちなのですが、ドゥラメンテという日本競馬を集大成する名血の塊りの貴重な後継馬が、世界を舞台にハイライトされるのは嬉しいものでした。しかし短い夏の間に情勢は急変します。マイルで連戦連勝を重ねて来た驚異の上昇馬バーイードが、距離を延ばして2000m級のインターナショナルSに挑戦、ここで涼しい顔でやってのけた破天荒なパフォーマンスに対して、IFHA(国際競馬統轄機関連盟)は135ポンドと破格のレーティングを捧げます。これで2400mの凱旋門賞を制するようならカテゴリーの異なる“三階級完全制覇”を成し遂げ、史上最強の称号をも戴冠することになります。

しかし馬主のシャドウェル一族、ウィリアム・ハガス調教師ともに慎重で、10戦10勝と未だに不敗の名馬が臨む“ロンシャンの大冒険”へのチャレンジに関して、熟慮に熟慮を重ねます。いろいろな意見や見解がヨーロッパ中を飛び交いました。中でも「バーイードは血統や才能など凱旋門賞を勝つために必要なすべてを持っている。たった一つ、凱旋門賞を戦うための調教をシーズン前から経験して来なかった点を除いては」という凱旋門賞2勝の名騎手キーレン・ファロンの思慮深いアドバイスには説得力がありました。ファロンさんの“賢人のつぶやき”が届いたのかどうか、バーイード陣営は“三階級制覇”への野望をスッパリ断ち切って、怪物フランケルと同じく英チャンピオンSでラストランを迎えます。この稀代のヒーローの動向に、さまざまな陣営がそれぞれに素早い反応を見せます。こういうところも大一番ならではの競馬の面白味が詰まっています。このあたりについては、明日からメモ帳をひっくり返してみたいと思います。
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