スキャットダディ大噴火【前】

JRAの2歳戦はダービーが終わった翌週、慣例では6月第1週から次のダービーに向けてスタートしますが、ヨーロッパではシーズンが始まったばかりというのに、既に“たけなわ”を思わせる盛況感を生み出しています。ホースマンとファン一体の盛り上がりは、シーズン最初のクライマックス「ロイヤルアスコット」へと持ち込まれ、女王陛下の眼前でフレッシュホースたちの品定めが厳粛におこなわれます。近年、この“天覧競馬”に群を抜いた強さを誇っているのが、今は亡きスキャットダディの血を受け継ぐ2歳馬たちです。もともとアメリカのリーディングサイアーとして貴重な血を世界に広めたストームキャットを祖として、その傑出した早熟性を受け継いだヘネシーを経て、オブライエン師が手がけて愛仏英米と4カ国の2歳G1を制覇したヨハネスブルクへ伝えられ、そして北米の名伯楽トッド・プレッチャー師が育てたスキャットダディに至る血統の大山脈が連なります。卓越したスピードに恵まれ、その完成度と成長度を早い時期に充実させる“高度な早熟性”は、世界中のホースマンの間で有名です。スキャットダディ自身は10年前に若くしてこの世を去りましたが、シャトルを活用して世界に散った産駒たちが目覚ましい働きを見せ、後継種牡馬が各国に続々と現れて父の遺伝子をシッカリと伝えています。

その筆頭格ノーネイネヴァーは、ロイヤルアスコットとなると魂をありったけ注ぎ込むような情熱を燃やし尽くす米ウェスリー・ワード師が創造した最高傑作で、種牡馬としては所有するクールモアが種付料12万5000ユーロ≒1700万円余とブランドシンボルのガリレオ後継に指名するほど高い評価を得ています。さすがに“エース”らしく今年も順調なスタートダッシュを決めて、デビュー戦から早々とG3を勝ち上がったメディテートや、圧勝ぶりが強烈なリトルビッグベアなど連勝馬を輩出し、2歳リーディングの首位を不動のものとしています。来月開幕のロイヤルアスコットでは、例年にも増して目を見張らせるような大活躍が期待できそうです。

フレッシュさが魅力の新種牡馬部門では、スキャットダディ系はオブライエン厩舎でロイヤルアスコット勝利もあるスーネーションが驚くべき勢いで勝ち星を重ねています。昨年は同血統で同厩舎の先輩カラヴァッジオが新種牡馬チャンピオンに輝きましたが、今年も普通の年であれば“王座奪取濃厚”の評判で持ち切りのはずです。ところが今年はライバルが強烈!同じスキャットダディの血を受け継ぐジャスティファイとメンデルスゾーンは、競走馬として相当な大器でしたが種牡馬としてもワールドクラスの活躍が期待される傑物です。

“名種牡馬スキャットダディ最後の超大物”ジャスティファイは、ご存じのように米三冠を無敗で達成した歴史的名馬で、初年度産駒からセリ市での評価も飛び抜けて高く、日本へもミリオンホース(落札価格1億円超)級の大物が多数輸入されています。同い年のメンデルスゾーンは、姉にG1を11勝した名牝ビホルダー、兄が3年連続で米リーディングサイアーを独占中の名種牡馬イントゥミスチーフという超良血馬。世界の頂点に立つ巨匠エイダン・オブライエン師の下で、芝のBCジュベナイルターフでG1勝ち、ダートのG2・UAEダービーは18馬身半ちぎる驚異的なレコードで圧勝しています。ケンタッキーダービーこそドロドロの不良馬場に脚を取られてジャスティファイの最下位に大敗しましたが、ポテンシャルの高さは一級品。種牡馬としてはジャスティファイを凌ぐような世界を舞台にした働きをして不思議はありません。これまでも十分すぎるほど素晴らしい走りを見せてくれたスキャットダディ系のサラブレッドたちですが、今シーズンは見たこともない“マグマの塊”を噴き上げるのかもしれません。
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