王座交代劇の行方

先週末のG1・NHKマイルCは、ダノンスコーピオンが持ち前の瞬発力を発揮して突き抜け、前走G3・アーリントンCに続いての連勝でG1初制覇を飾りました。父ロードカナロアは今季9勝目の重賞勝利に、G1制覇で花を添えたことになります。これでリーディングサイアー争いのトップを走るディープインパクトとの差をグッと縮めて、初の王座戴冠が現実味を帯びてきました。リーディングサイアーの決め手となる賞金の高い重賞勝利数がダントツなことも好成績の要因ですが、出走頭数・勝ち上がり頭数・累計勝利数など、主要ファクターの多くでライバルに差をつけている現状からも、悲願達成は夢で終わらないでしょう。

10年連続で王座を独占しているディープインパクトの能力の高さは別格です。国内は無論のこと、海外でも次々とG1ホースを輩出し続けて、紛れもない王者の風格が立ち込める勇姿は、これまで日本競馬の歴史になかった異次元の風景です。しかしご承知のように、没後3年を経て、遺された産駒は20年に誕生した現2歳世代がラストクロップとなります。その登録数も国内はわずか6頭と伝えられます。もう1ヵ月足らずのダービー翌週、6月4日から20年世代の新馬戦がスタートします。そこからディープインパクトのリーディングサイアーへの道は、2歳戦の戦績をアテにできない“片翼飛行”が始まります。自動的に来年以降のクラシック戦線でも同様の状況を受け入れなければなりません。いずれロードカナロアを主役とする後継候補に、王座を明け渡すのは時間の問題でした。

しかし今季の開幕戦、正月競馬のG3・中山金杯でレッドガランが新年を祝う盃を高々と掲げたのを皮切りに、ロードカナロアはディープインパクトと抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げ、先週のNHKマイルCとガランによる新潟大賞典のダブル制覇で王者追撃に弾みをつけました。高額賞金のG1レースに強く、しかもワンツーフィニッシュをしばしば決めるなど、効率良く賞金を積み上げるディープの“異能”には感心させられますが、10年間も絶やさず王座を死守し抜くには、そうした“特別な能力”が欠かせないのでしょう。

粒揃いで平均レベルも高い“カナロア軍団”が、そうした特殊能力をも身に付けると王座奪取がグンと近づくはずです。絶対王者ディープインパクト以外にも、若くして亡くなり期間限定となるドゥラメンテも産駒が相当に質の高い競馬をしています。3世代、4世代と層が厚くなる来年以降の数年間が勝負です。新王者を目指すカナロアには手強いライバルになりそうです。今、始まろうとしている“王座交代劇”のドラマも見逃せない競馬の醍醐味のひとつと言えるでしょう。
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