今は日本にいる種牡馬マクフィの子孫たちが、世界の高額賞金レースで次々と大金星を挙げているというお話をしています。その余波と言ったらいいのでしょうか?世界を縦断する種牡馬ランキングにもそれは反映され、ちょっとした「春の珍事」と話題を呼んでいます。「ブラッドホース」は1916年創刊という北米最古の競馬情報誌ですが、歴史を重ねるとともに今では北米を中心に世界を網羅するネットワークを確立しています。その老舗が誇る権威あるリーディングサイアーランキングにも、突然の「春の嵐」ならぬ種牡馬戦線の「異常事態」に敏感に反応しています。

 

同ランキングは、過去現在を問わず北米で繋養された種牡馬たちの産駒成績を集計して作成され(イギリス生まれでフランス育ち、現在はアイルランドで供用されているメイクビリーヴ、その父マクフィは日本にて供用中で残念ながら対象外)、北米は全レースが、その他の北半球はリステッドレース以上、南半球はグレードレース以上が対象となります。その最新版の第1位に、なんと!スパイツタウンが急浮上して世界中のホースマンをビックリ仰天させています。言うまでもなく、総賞金2000万ドル≒21億円の超高額賞金レース「サウジC」で産駒シャーラタンが2着を踏ん張り、アンダーカードの「リヤドダートスプリント」では日本馬マテラスカイがコパノキッキングとの日の丸ワンツーフィニッシュで2着に粘り込み、合計380万ドル≒4億円を加算したのが決定打になりました。日本でも非常に勝ち上がり率の高いスピード系種牡馬として人気がありますが、それにしてもここまでとは!と驚くばかりです。

 

ランキング2位のペインターは、昨年のG1・ブリーダーズカップダートマイルを制したニックスゴーが、総賞金300万ドル≒3億1500万円のペガサスワールドCを逃げ切り、今回のサウジCは4着でも賞金150万ドル≒1億5750万円をゲットしています。こうした「高額賞金レース組」=「バブル組」とは少し趣が異なりますが、日本のフェブラリーSを完勝したカフェファラオを出したアメリカンファラオのランキングも急騰しましました。全般に賞金が高いとされる日本や香港のアジア競馬は、「ブラッドホース」のランキングでは減額調整されて加算されるルールなのですが、それでも1着賞金1億円というのはインパクト絶大なようです。

 

リーディングサイアーは、年間通じて安定して高度な成績を積み上げた種牡馬に贈られる最高の栄誉というイメージがあります。ヨーロッパならガリレオ、日本ならディープインパクトが最近では理想像でしょうか?ところがフランスでは、凱旋門賞の賞金が他G1との比較でも飛び抜けて高く設定されているために、凱旋門賞馬の父=リーディングサイアーという一発勝負的な図式が定着しています。その後の世界競馬地図はドバイワールドCを追うように、ペガサスワールドC、サウジCと金満レースが次々に創設されたダート界が次の世界王座を狙っていますが、果たして思惑通り野望を遂げられるのか?リーディングサイアーの在り方=競馬の在り方が根源的に問いかけられているようです。