レッドルゼルが快勝したG3根岸Sは、ルゼルにとってはもちろん、意外にも父ロードカナロアにとってもJRAダート重賞の初勝利でした。カナロアは、キングカメハメハ系の父系にストームキャットの肌という血統構成で、祖母サラトガデューは米G1馬と筋金入りのダートポテンシャルを持って生まれています。ここまでダート重賞に縁がなかったのが不思議なほど。ルゼルの母系もデピュティミニスター系フレンチデピュティ、フジキセキと日本のダート競馬に実績のある血を重ねられています。フジキセキとデピュティミニスター系との配合からは、砂のディープインパクトと畏敬を集めたカネヒキリを輩出しています。ダート重賞馬が出現するのは時間の問題でした。

 

ルゼルの母フレンチノワールは、クラブ名を心機一転「東京サラブレッドクラブ」へと改名した年に募集された一期生で、久保田貴士厩舎でダート中距離を主戦場に4勝を挙げてくれた活躍馬でした。当時は冠名がまだ使われていない時代でしたが、現在のルゼルと同じ「赤・白星散・袖白一本輪」の勝負服と東サラの威名を大いに高めてくれた功労馬でした。その思い出深い馬が、こうして重賞馬を出してくれるのですから、競馬の赤い糸はどこからどう伸びていくか分からないものです。

 

ルゼルは1分22秒3と優秀な走破時計で抜け出して来ました。これでG1フェブラリーSの優先出走権をゲット、胸を張って大一番へ向かうことになります。節目の交流重賞をことごとく除外される不運に泣かされ続けた去年までとは天と地の差です。それに加えて、根岸SとフェブラリーSの抜群な相性の良さも追い風になりそうです。根岸Sを22秒台以上の時計で勝ち切った馬たちは、昨年のモズアスコットから遡って、ノンコノユメ、モーニンなどこの5年間で本番の頂上戦を実に3勝もしています。データから見る限り、ルゼルのフェブラリーS挑戦に夢が大きく膨らみます。

 

芝の東京マイルは2000mを乗り切るような底力が求められるタフなコースだと良く言われますが、逆にダートマイルは1400mに対応できるようなスピードと切れ味が勝負を決する分かれ目になっているのでしょうか?とは言うものの、56キロのルゼルに対して58キロのタイムフライヤーや59キロを背負わされたアルクトスはゴール寸前で惜しくも息切れしましたが、今度は同条件ですから楽観はできません。キュッと兜の緒を締めて、栄光をもぎ取ってくれたら嬉しいのですが。フェブラリーSは20日後の2月21日、どうぞお楽しみになさってください。