師走競馬が始まる頃には、妙齢の牝馬達が牧場への帰り支度に
追われ、馬産地は種付けシーズンの準備に慌しさを増します。
主要スタリオンから来年度のラインナップと種付け料が発表さ
れ、ホースマンの方々はどなたも、自らの手で未来の競馬を創
造する夢の配合に想いを巡らします。外は吹雪いていても、胸
中には情熱の炎が燃え盛ります。一番、愉しい季節かもしれま
せん。
昨年、21世紀に入って日本競馬を盛り上げ続けた不動の大黒柱
・ディープインパクトとキングカメハメハが相次いでこの世を
去り、ホースマンは先の見通せない闇夜に直面することになり
ます。しかし、幸いにも昨年、今年と新種牡馬は豊作に恵まれ
ました。昨年はキズナがコンスタントに重賞勝馬を輩出。いき
なりからディープインパクトの正統後継の座に名乗りを上げま
した。今後は同じノースヒルズが所有するコントレイルなど、
強力なライバルが出現してきますが、先輩の意地を大噴火させ
るか!
エピファネイアは、母シーザリオを通じてサンデーサイレンス
(SS)4×3という、これまで希少だった「新種クロス」を可能
にし、いきなり初年度から無敗の牝馬三冠馬デアリングタクト
という超大物を輩出。種牡馬界の「麒麟児」と大注目を浴びま
した。種付け料も当初の250万円から500万円、来年から1000
万円と倍々ゲームで急騰しており、スタリオンの力の入れよう
に加えて生産者サイドの期待の大きさが膨らんでいくのが伝わ
ります。SSクロスという秘密兵器は、絶対女王アーモンドアイ
が牧場に凱旋後、エピファネイアを最初の花婿として種付けの
予定で、順調なら2020年代を象徴する血統カテゴリーのひと
つとして、そのブランド価値をますます高めていくことになり
そうです。
今年のモーリス、ドゥラメンテも快調に勝利を重ねています。
先週までの2歳リーディングでは、勝利数ランキングを見ると
絶対帝王ディープインパクトがレッドベルオーブの成し遂げた
G2・デイリー杯2歳Sのレコード勝ちを含めて31勝で頂点に
立ち、ドゥラメンテ30勝、モーリス28勝が僅差で後を追い、
さらにキズナとエピファネイアが続いて、ここまでがベスト5
という構図になっています。豊作というのも大袈裟ではありま
せん。
リーディングサイアーは獲得賞金額の総合計で決定されますが
、ベスト5の差はわずか!今週から3週連続で2歳G1の連戦
が続き、その1勝分で大逆転が現実のものとなる混戦模様が続
きます。最後の最後!G1・ホープフルSの運命を決めるゴール
の瞬間まで、2歳リーディングサイアーは混沌としたままなの
でしょうか?