函館に始まり新潟、札幌、小倉へと至った2歳重賞は、ここま
で4つのG3レースが行われました。話題の焦点は一挙に2頭も
の勝ち馬を輩出した白毛のシラユキヒメの系統の話題でしょう。
単に毛色の希少さに留まらず、ダート界では重賞の常連として
強烈な存在感を植え付けて来た一族ですが、芝も通用となると、
日本競馬史にその名を残す一流牝系と言わねばなりません。
シラユキヒメは突然変異で白毛に出ましたが、その遺伝確率は
50%とされます。しかし彼女は12頭の産駒のうち11頭に白毛を
伝えているように、強烈な自己主張の持ち主のようです。それ
が良くも悪くも産駒に伝わり、気性難に悩む仔も出しましたが、
孫・曾孫と代を重ねる中で、気の強さが集中力へと変換される
傾向も現れるようになり、一大勢力へ成長を遂げてきました。
日本競馬の至宝=白毛の名牝系を長く伝えて欲しいものです。
新種牡馬では、ミッキーアイルが小倉で堂々金星を挙げました。
武豊騎手を鞍上に迎えたメイケイエールが、その殊勲の功労馬!
毛色は鹿毛に出ましたが、母シロインジャーからユキチャンを
経て牝祖シラユキヒメに遡る白毛ファミリーに属しています。
シラユキヒメはサンデーサイレンスの娘、ミッキーの父である
ディープインパクトを通じてSS3x4のクロス持ちになります。
現役時代はデビューからマイル路線を歩み、シンザン記念、
アーリントンC、NHKマイルCを含め5連勝した、ディープイン
パクト産駒を代表するスピード馬です。ここまで産駒の勝利が
すべて1200mに偏っています。スタートからゴールまで一所懸命
に走る生真面目な仔が多く、短い距離で良さが生きるタイプ
なのでしょうか?スムーズな流れに乗ればマイルまでは十分に
守備範囲でしょうが、気性的にG1を2勝したマイルよりも、
自身はG1未勝利だった1200m級スプリント重賞に適性発揮する
産駒を量産する良質なスプリント種牡馬に成長しそうですね。
この本質を見抜いたのでしょう。短距離王国オーストラリアに
早速シャトルされ、彼の地でも大きな期待を集めているようです。
今年に入ってロードカナロアが、輸出された日本産馬タガロアで
G1ブルーダイヤモンドS(1200m)を制覇しており、日本血統への
評価がますます高まっています。「ミッキーアイル産駒が南半球で
大暴れ」というニュースが、はるばる南十字星下から届けられる
のも今後の楽しみのひとつになりそうです。