マツリダゴッホが、北の大地で元気なところを見せています。
今季初の2歳重賞G3函館2歳Sをリンゴアメが制したのに続いて
昨日の札幌OPコスモス賞でウインアグライアがデビュー戦での
名牝ブエナビスタの傑作と評判が高かったブエナベントゥーラ
打倒の金星に続き、母ラストグルーヴからエアグルーヴへ遡る
期待馬カランドゥーラを完成度の違いを武器に圧倒しました。
ともに新種牡馬期待の星モーリス産駒という番狂わせでした。
ジャイアントキリング(大物喰い)は、競馬の感動と興奮には
欠かせない舞台装置であり居なくてはならないヒーローです。
ゴッホの血は、そうした個性を確かに伝えてくれるようです。
その背景に彼自身の地味さが影響しているのかもしれません。
マツリダゴッホはSS(サンデーサイレンス)ラストクロップに
生まれ、一番若い!SS系種牡馬として期待を集めてきました。
1歳上に偉大なディープインパクトが君臨、その存在感は凄くて
母系にエリザベス女王のオーナーブリーダーズ馬ハイクレアを
擁するなど何かと派手でバタ臭いのに対して、ゴッホは馬名も
ベタなら、クラシックには縁遠く良績は地味な中山にほぼ集中
それでも有馬記念を勝ったのは大したものですが、華やかさで
ディープに一歩も二歩も譲るのは、やむを得ません。
翔ぶように駆けるディープとは対照的に、地を掴み獲るように
進む操縦性の高さは、小回りでトリッキーとされる中山でこそ
同じ小回りながら力の要る洋芝を舞台に威力を発揮しました。
ディープが、国内で唯一敗れた中山、未踏の舞台である洋芝で
強かったのは、光り輝く個性と称賛してあげて良いでしょう。
こうした多様性の獲得はサラブレッドの進化に欠かせません。
一番若いSS直系種牡馬マツリダゴッホも、高齢に差しかかって
現2歳世代は種付け数が100頭を割り、徐々に減少しています。
エピファネイアやモーリス、またドゥラメンテなど、SS持ちの
非SS父系サイアーの台頭が著しい昨今はSS4x3、または3×4の
クロス馬がトレンドとして注目を集めていますが、ならばその
根幹を支えるSS直系の血の重要性・希少性が高まって来るのは
自然の流れでしょう。もう「若い!」と、胸を張れる年齢では
ありませんが、直系中、もっとも歳下なのは変わらない事実!
もう一花、まだ二花を咲かせてほしいものです。