ディープインパクトの「命日」だった先月30日。イギリスで

は、夏の名物「グローリアス(壮麗なる)グッドウッド」を舞

台に、ディープ産駒ファンシーブルーがG1ナッソーSを見事

勝利!霊前に最高の名華を手向けました。年に一度のチャンス

をしっかりモノにした孝行娘の誕生です。

 

今度は、ディープ後継の最右翼と目されるロードカナロアの産

駒が、ヨーロッパG1初制覇にトライします。真夏のドーヴィ

ル、G1通算勝利数14勝のヨーロッパ記録を誇る名牝ゴルディ

コヴァが我が庭のように愛し、前人未到の4連覇を成し遂げた

G1ロートシルト賞が、その舞台に選ばれました。ロードカナロ

アは、既にオーストラリアのタガロアが2歳戦世界最高賞金ゴ

ールデンスリッパーの前哨戦・ブルーダイヤモンドSでG1制

覇を実現していますが、本場ヨーロッパともなると一段と価値

が高まるのは関係ホースマンすべての心積りでしょう。

 

父ロードカナロアのイギリス産馬ノウイットオールは、新進調

教師ジョニー・ムルタ厩舎の管理馬。騎手時代はオブライエン

軍団のスーパーサブとして、ビッグレースの数々でメダル大洪

水を味わい、アイルランドリーディングジョッキーに五度も輝

きました。騎乗馬達も素晴らしかったのでしょうが、ジョニー

の卓越した騎乗センスと馬愛の非凡さゆえでしょう。超人的な

名伯楽エイダン・オブライエン師は、馬を育てるのも超一流な

ら、人を薫陶することについても並外れた才能を披露します。

骨格豊かで、若くして減量の限界に直面した子息のジョセフと

ドナカ兄弟は調教師に転身し、開業初年度にG1トレーナーの

座を奪取しました。偉大な父の背を見て育ったのでしょうか。

同じことが、ノウイットオールのジョニーに言えると思います。

 

しかし、本場G1の壁の厚さは想像を超えるものがあるようで

す。勝ったウォッチミーは昨年コロネーションSを戴冠した3

歳牝馬マイル女王であり、ここへ入ると一枚も二枚も格が違う

印象があります。実際、レースでも好位追走からラストだけで

仕掛けて鋭く抜け出したあたり、さすがに役者が違った感じ。

抜け出したウォッチミーを追ってゴドルフィンのハーフライト、

カナロアのノウイットオールも併せ馬で懸命に伸びたのですが、

その差は簡単には詰まりません。地力というか、血を繋ぐ中で

生き残るには必要不可欠な底力なのでしょう。結局、勝負はウ

ォッチミーが後続を4分の3馬身抑え、際どく2着の座を争っ

たノウイットオールは、短アタマ差の惜しい3着でした。

 

しかし、着差はほんのわずかでも、ノウイットオールに差せる!

と思わせる瞬間がなかったのも事実で、もう一段二段の飛躍が

ないとG1戴冠は難しいかもしれません。次走は9月中旬に予

定されているアイルランド・チャンピオンズシリーズの牝馬G1

メイトロンSだそうですが、ここはファンシーブルーも出走し

て来るかも?アイルランドの頂上戦シリーズで、ディープVS

カナロア対決が実現するというのも、なんだか夢のようなスト

ーリーですね。