ちょっと不思議な現象ですが、いま日本のホースマンの間では
なぜかアメリカンファラオの評価が急上昇しているようです。
ご存じのように37年ぶりに米三冠を制覇した近年屈指の名馬で
現3歳世代を初年度産駒として送り出し競り市場において概ね
高値取引される人気種牡馬として絶大な信頼を集めています。
誰もが憧れるアメリカンドリームの高みに上り詰めた彼が、今
日本から改めて関心を寄せられるのは、なぜなのでしょうか?

ファラオの母国での初年度産駒は、フォーホイールドライヴが
ブリーダーズカップのG2BCジュベナイルターフスプリントを
制覇したのを筆頭に勝利はなぜか芝重賞に集中していました。
エイダン・オブライエン厩舎のクールモア良血馬も芝レースを
目標に配合されており、一見「意外な」結果も「目論見通り」
だったのかもしれません。

ところが日本は真逆の結果で、ここまでデビュー8頭中7頭が
勝ち上がり、通算で延べ12勝をマークしていますが、勝利の
内訳はダート11勝、芝1勝と極端に偏っています。ファラオの
血統や実績からは、むしろこちらの方が本筋にも思えますが。
しかもカフェファラオが圧勝のG3ユニコーンSは、この血筋で
世界初のダート重賞制覇であり、ダノンファラオが大逆転した
ジャパンダートダービーは国際的にはローカルG1格付けですが
父にとってもG1級レースは、初めての栄光体験となりました。
砂質やコース形態の違いが著しいJRAと地方を問わない走りは
米三冠馬が秘める、恐るべき日本適性の深さに感じ入ります。

芝はまだ1勝だけですが、リフレイムは気性温順でおとなしいと
伝えられていたファラオにしては想定外の暴れん坊ぶりを見せ
外ラチに向かって制御不能の大暴走!しかしギリギリ宥められ
半馬身抜け出て、恐るべきポテンシャルの片鱗は示しました。
芝適性は欧米でも証明済みで、今後は出走機会の増加とともに
このカテゴリーでの成績も、急成長すると期待されています。
相馬眼の確かさに幸運の後押しも手伝ったのか、いずれにせよ
アメリカンファラオの初年度産駒は、奇跡的にも日本にばかり
傑出した優良馬が集中しました。

データに敏感でトレンドに目敏い日本ホースマンがこの結果に
注目しないわけはありませんね。今や、ファラオ来日待望論が
どこからともなく風のように巻き起こり、実現するかどうかも
分かりませんが、トルネードのように大きく成長しています。

アメリカンファラオは現役時にクールモアによって種付権利を
2000万ドル(24億円)以上という高額で購買されています。
社台が1100万ドルで購入したと言われるサンデーサイレンスは
時代の違いを考えればファラオとほぼ同価値なのでしょうか?
つまり、それくらい大変な、世紀のお買い物になりそうです。
そのサンデーが築き上げたSS系と非SS系も包含する偉大なる
王国も、ここに来てさすがに手詰まり感がにじみ始めました。
どれだけ実現可能性があるか?見通しゼロですが、今の状況で
アメリカンファラオ投入の一手は、俊英・藤井聡太七段並みの
「大逆転の妙手」という気持ちになって来るから不思議です。