絶望の淵から漕ぎ出した一艘の小舟が、今や無敵艦隊へ成長し
涯てしない未来と夢の広がる大海へ威風堂々!発進しました。
札幌のHTB賞、レッドアルマーダの強さばかりが光りました。
アルマーダは逃げて、前半こそ62秒台と平凡なペースでしたが
他馬が競りかけ交わしに来た後半は、58秒台へと流れが急転し
どうなることか?とドキドキヒヤヒヤしながら見ていましたが
逆にアルマーダは集中力を高めたようで、見た目に伸びやかな
走りで、ラスト11秒8-11秒7-11秒6と文句のない加速ラップで
3馬身突き放しました。底を見せないままの完勝でした。

藤沢厩舎の未勝利からの格上挑戦馬にはディープインパクトの
お姉さんレディブロンドが有名です。女王陛下のハイクレアを
祖母と仰ぐウインドインハーヘアに、シーキングザゴールドが
付けられたアメリカ産馬ですが、彼女のデビューは遅れに遅れ
何と5歳6月の函館、順調なら繁殖入りプランも、そろそろ検討
される年頃でしょう。師は除外リスクを考慮して二階級特進の
2勝クラスに向かわせると、彼女は名伯楽の篤い信頼に応えて、
函館の短い直線を後方一気の末脚で見事に勝ち上がります。

そこから破竹の5連勝を記録、デビューわずか107日目には遂に
G1スプリンターズSの舞台へ駆け上がります。しかしさすがに
相手が強く快速デュランダル、ビリーヴには遅れを取りますが
中山の急坂を勢い良く追い込んで4着に入線する大健闘でした。
馬も立派ですが、ここまで辛抱した師の信念に驚かされます。
彼女は繁殖入りして帝王賞を制したゴルトブリッツの母となり
孫の代からダービー馬レイデオロ(父シンボリクリスエス)を
出し、栄光の藤沢ブランドの1ページに華を添えています。

アルマーダの母レッドシェリールも藤沢厩舎の管理馬でした。
その母マンダララは世界競馬の発展に甚大な影響力を発揮した
アガ・カーン家の至宝ムムタズマハルに遡る偉大な血脈です。
シェリールの姉マンデシャは、ディープインパクトが出走した
凱旋門賞当日のG1オペラ賞をヴェルメイユ賞に続いて4連勝で
圧勝します。その走りと血統に惚れ込んだ山本英俊オーナーが
母娘を所有していたアガ・カーン家のザーラ王女から母の方を
譲り受けたものです。アルマーダは、その孫筋に当たりますが
つくづく血統とは、競馬とはロマンなのだと改めて思います。

アルマーダは中世に世界の海を制圧したスペインの無敵艦隊に
ちなんでいますが、母シェリールがベルモントオークス挑戦を
志しながら故障で渡米は中止、繁殖入りしています。藤沢師と
母の悲願を受け継いで、七つの海を自らの制海権とするような
強豪に成長してくれたら嬉しいのですが。
現1歳の募集馬には父ロードカナロアの全弟がラインナップされ
兄のデビュー前の不運を吹き飛ばし順調に成長してくれればと
ひたすら願っています。順調であれば楽しみしかありません。