ダービーが終わり夏競馬が始まると、フレッシュな2歳馬たちが
競馬場に姿を現し、3歳と4歳以上に分かれていたレース編成は
3歳以上へと統一され、世代混合戦が本格的にスタートします。
どの馬が強いか?という横の馬券推理に、どの世代が強いか?
そんな縦軸も加えて、一層複雑な検討が必要になって来ます。

混合戦のスタートにあたっては、ご存じのように、少なくとも
競馬先進国の中にあって日本だけに「降級制度」が一昨年まで
存在しており、4歳馬は収得賞金を半減してクラス編入される
とてもラッキーな特典が与えられていました。
夏到来で1クラス、馬によっては一気に2クラスも降級します。
以前は4歳以上全世代の賞金半減が実施されていた時代もあり
降級と昇級を毎年定期的に繰り返すことで、軽く1億円以上を
稼ぎ出す馬主孝行なスーパー1勝馬も珍しくありませんでした。
思えば、牧歌的な「古き良き時代」でした。

JRAにとって現行クラスで頭打ち気味の馬を降級させることは
競走馬資源を維持し、出走頭数の確保とレースレベルの安定に
欠かせぬ切り札であり、オーナーにとっても多額な持ち出しが
当たり前の厳しい馬主経済を補償する有り難い仕組みでした。
イギリスを発祥の地としヨーロッパで発展して来た近代競馬は
強いものが生き残り、弱いものが滅びる「優勝劣敗」の思想が
基本とされ、それがサラブレッドの進化をさらに推し進めると
考えられて来ました。これが今や「国際基準」になりました。
一種の弱者救済でもある「降級制度」が「優勝劣敗」を大義と
する世界潮流から外れているのは否定できそうにありません。
日本競馬のさらなる発展に、海外馬券の発売拡大なども含めた
ビジネスモデルのグローバル化を進める一方で、降級制度など
「ローカルルール」の古い衣を脱ぎ捨て、「国際基準」という
新しい革袋への早急な移行が必要でした。

さて夏期番組がスタートして1カ月、「降級制度」撤廃2年目を
迎えた今年の世代別の勝利数は、どう推移したのでしょうか?
降級制度廃止の影響が、もっとも顕著に反映されたと思われる
1勝クラスをサンプルに分析を進めてみました。
結果から言えば、3歳馬が他世代を圧倒しています。出走頭数が
多いこともあり、全53レースで7割近く、ダート24レースでは
8割を超える驚異的な勝率を誇っています。中でも東京ダートは
8戦8勝のパーフェクトでした。
適性が重要なファクターとなる函館洋芝や経験知のアシストが
必要な中長距離レースに比べて、ポテンシャルがストレートに
反映されやすいダートや芝の短距離戦では3歳馬の勢いが勝る
ということなのでしょうか?

降級制度廃止前と後では4歳が勝率をほぼ半減させたのに対し
降級特典がなくなった5歳以上は概ね横ばい、3歳は昨年から
18ポイント弱、今年は21.2ポイントと大幅な勝率上昇を実現し
制度廃止の影響が、レース結果に如実に反映されていることが
見て取れます。こうした現象は、いったんはクラス全体として
レベル低下したのでは?と解釈できますが、新しいトレンドも
生み出しています。その新風の詳細は明日お届けしましょう。