この前の東京オリンピックの年に三冠達成の偉業を成し遂げた
名馬シンザンを顕彰して1967年に創設されたシンザン記念は、
初期には、23頭立てのダービーの直線だけで22頭を追い抜いた
伝説の二冠馬ヒカルイマイを輩出するなど名馬の名に恥じない
スターホースを生み出しましましたが、厳冬の時期の開催など
有力馬が集まりにくい難条件もあって、次第にクラシックとは
無縁なレースになって行ったのは仕方がないかもしれません。

しかし21世紀が明けた02年、潮目が変わる兆候が現れました。
未勝利を勝ち上がったばかりのタニノギムレットがここを連勝
一戦毎に力をつけてヒカルイマイ以来31年ぶりにダービー馬に
君臨します。松田国英調教師の管理馬ですが、師はその2年後の
キングカメハメハでも、早々と正月明けの京成杯から使い出し
NHKマイルCとダービーとの「変則二冠」を達成しています。
ダービー目標に馬を創り上げる呼吸を会得し尽くす達人です。

07年にはダイワスカーレットがシンザン記念2着から桜花賞を
制覇しました。松田師のチャレンジで、これだけレース価値が
上がってくると周辺の厩舎人も見過ごすはずもありません。
寒い時期の始動というリスクは取らねばなりませんが、反面で
賞金加算に成功すればクラシック本番までタップリ時間があり
馬の成長を促し、完成度をさらに高めることが楽になります。
種牡馬には仕上がり早い能力が求められるようになりますが。

シンザン記念の価値が決定的に評価を定着させたのは2011年。
この年の2着馬オルフェーヴルが後にシンザンに並ぶ三冠戴冠!
3着馬マルセリーナは桜の女王に。勝ったレッドデイヴィスは、
前走で先頭でゴールしながら他馬に迷惑をかけて降着になった
暴れん坊ぶりで分かるように、クラシック出走権のない悲しい
せん馬の身でした。後の三冠馬や桜花賞馬を打ち砕く歴史的な
ジャイアントキリングを果たしながら、栄光への架け橋すらも
与えられないまま終わったのは気の毒でした。
この記念碑的レースの2ヶ月後に今も忌まわしい東日本大震災に
襲われるとは夢にも思わなかったのですが、オルフェーヴルや
マルセリーナ、レッドデイヴィス達の獅子奮迅の頑張りぶりが
被災者の方々、日本全体の心の支えになったのは幸いでした。

しかしこれで堰を切ったようにシンザン記念の注目度が高まり
牝馬三冠を達成し年度代表馬にも輝いたジェンティルドンナや
アーモンドアイがこのレースから出たのは余りにも有名です。
桜花賞馬ジュエラーや皐月賞馬アルアインもここをステップに
クラシックの栄光の架け橋を見事に渡り切っています。
名馬シンザンの威光は死なず!そんな感慨さえ湧いて来ます。
さて、シンザン3歳時以来のオリンピックイヤーとなる今年!
栄光への架け橋へと駆け上がるのは、どの馬でしょうか?