アイルランドを拠点に、世界中でG1レースを勝ちまくっている
エイダン・オブライエン調教師ですが、勝利に対する貪欲さを
これほど燃やすトレーナーは広い世界でも第一人者でしょう。
クラシックなど最重要レースは、ほとんどの場合が多頭出しで
臨み、チームプレー戦略を駆使しペースメーカーが流れを創り
後続勢も各々のポジションでレースを支配しようと試みます。
有名なのは16年の凱旋門賞にファウンド、ハイランドリール、
オーダーオブセントジョージのガリレオ勢3騎がチャレンジ!
好位を占めると交互に馬群を引っ張るようにレースを支配して
ガリレオには不向きと思われた良馬場のレコード決着でしたが
最後は底力の違いを見せて1-2-3フィニッシュを決めました。
当時からチームワークの勝利と大きな話題になったものです。

今年の英ダービーには13頭立ての半数を超える7頭がチーム・
オブライエン。どんな流れにも対応できるようにと要所要所に
各馬を位置させて勝負は直線の追い比べに。ペースメーカーが
役目を終わると馬場の中央からサードラゴネットとブルームが
内を粘る他厩舎のマッドムーンに並びかけ、先頭を伺う態勢!
さらに最内に突っ込むアンソニーヴァンダイクが急浮上すると
大外から鋭く強襲するジャパン。どの馬に凱歌が上がるのか?

今年のエプソムは前日のオークスもそうでしたが、内が伸びる
馬場だったようで最内のアンソニーが半馬身抜け出し、さらに
マッドムーンが粘り込んで大外を衝いたジャパンは僅かハナ差
凱旋門賞での武豊騎乗が決まったブルームと、1番人気の良血馬
サードラゴネットが短アタマ+短アタマで続きます。どの馬が
勝っても不思議はない大激戦でした。2着を粘ったマッド以外は
すべてがチーム・オブライエンの調教馬だったのは無論です。

昨夜のヨーク・G1インターナショナルSでもオブライエン師の
チーム戦略が見事に嵌ります。9頭中2頭だけだったのですが、
ロイヤルアスコットでセントジェームズパレスSを勝って来た
サーカスマキシマスが先導役を引き受けます。仮にも、G1馬に
ペースメーカー役を命じるとは、冷徹非情?と言えば良いのか
師の勝利への執念は並大抵でありません。貪欲そのものです。

この執念が乗り移ったかのように急激な成長を遂げているのが
ジャパンです。ダービー3着の20日後にロイヤルアスコットの
G2キングエドワード7世Sでは後方一気に馬群を一飲みにして
4馬身半突き抜ける圧勝!ウェスタンオーストラリアとともに
遠征したパリ大賞は、ウェスタンに先導され好位を進むという
新境地にチャレンジ、あっさり抜け出しG1初勝利を飾ります。
そして昨夜のヨークも、サーカスの刻む心地良いラップに乗り
3番手から競馬を進め、強豪クリスタルオーシャンと長い直線で
激しく叩き合い、ゴール寸前でアタマだけ差し切りました。

これでG1を2連勝、英ダービー馬のアンソニーヴァンダイクや
愛ダービー馬ソヴリンを差し置いて、チーム・オブライエンの
エース格にのし上がりました。次走は凱旋門賞なのでしょうが
絶対女王エネイブルに次ぐ2番人気に支持されるのでしょうね。
しかしエネイブルの強さは半端じゃありません。やはり本来の
持ち味である後方一気の強襲策が唯一の活路かもしれません。
近づくほどに胸の高鳴りを抑えることができませんね。