キズナが、今年の新種牡馬重賞制覇一番乗りを果たしました。
日曜のG3函館2歳Sを逃げ切った、ビアンフェがその馬ですが
最内枠を利してスルスルと先頭を奪い切り、最初の3ハロンを
33秒6のハイラップで飛ばしラストも余裕残しの楽勝でした。
姉ブランボヌールも勝っているレース、姉弟制覇になります。

キズナは、後継馬という意味ではロードカナロアを出している
キングカメハメハに遅れを取っているディープインパクト系。
しかし今年のディープ後継組は、キズナ自身が地方も含む総合
2歳リーディングサイアーのトップに立ち、リアルインパクトや
ワールドエースもベストテン入り、これまでとは一味も二味も
違うレベルの高さを見せています。逆襲が始まるでしょうか?
中でもキズナは、父ディープに母父ストームキャットを配した
黄金配合のハシリとも言える成功を収めました。

ディープインパクトはサンデーサイレンスからヘイローに遡り
母ウインドインハーヘアは、その父アルザオからリファールを
経て、ノーザンダンサーへと至る血統構成です。
ヘイローとノーザンダンサーは、母親が異父姉妹同士ですから
従兄弟の間柄。ディープはヘイロー≒ノーザンダンサー2×4の
従兄弟クロスを抱えることになります。また双方の祖母である
名繁殖馬アルマームードの父マームードは、ヘイローの曽祖父
ロイヤルチャージャーと従兄弟で、ちなみに世界の血統地図に
大きな影響力を有するナスルーラとも、従兄弟の間柄ですね。
こうした“近すぎず・遠すぎず”の縁戚の血を複雑に組み合わせ
築き上げたのが“多様性の王国”ノーザンダンサー系の礎です。
それは従弟ヘイローの側から見ても、同じことが言えますね。

見て来たようにノーザンダンサーは代々多様性に富んだ個性を
輩出していますが、ディープとの相性において、中でも2歳時
5戦5勝と優秀な王者のノーザンダンサー系ストームバードから
ストームキャットへ至る血が傑出した存在感を誇っているのは
抜きん出た早熟性と、非凡な日本適性にあったと思われます。

ストームキャット系は日本と同様に固い馬場で知られる南米の
アルゼンチンやチリで好結果を残してきました。とくにチリは
2歳戦から3歳クラシックまでが競馬体系の根幹を成しており、
早熟性は絶対的な武器になっています。日本では盛んなPOGの
運営ルールに近い、と言ったらイメージしやすいでしょうか?
3歳クラシックが終わると、有力馬は北米や欧州に新天地を求め
トレードされて行きます。チリにシャトルされアッという間に
世界的に勢力を拡大したのがスキャットダディでした。
ご存じのように、父が日本にいるヨハネスブルグで、そこから
ヘネシーを経てストームキャットに遡る血統です。

惜しくも早逝しましたが、産駒達は南米に始まりヨーロッパや
北米で大活躍。日本ではミスターメロディが高松宮記念制覇と
環境を問わず能力を出し切る血の神秘は驚くしかありません。
ストームキャット直仔バーンスタインはアルゼンチンにおいて
リーディングを獲得し、固い馬場への適性を証明し、同時期に
輸入産駒のゴスホークケンが朝日杯をレコード勝ちしました。
日本育ちのストームキャット系シーキングザダイヤも縁あって
アルゼンチンに渡って大化けし、G1馬を次々と出しています。
ストームキャット系の秘めた日本適性を逆証明した格好ですが
それにしても、ディープの花嫁にストームキャット系の牝馬を
最初に選んだ人は偉いですね。恐るべき炯眼でした。