レッドアンシェルが前も見えない豪雨の中の道悪競馬を克服し
CBC賞で待ちに待った重賞初勝利を飾りました。振り返れば、
芝・ダート問わない“二刀流”で人気があったレッド軍団最高の
スプリンター・レッドファルクスも、CBC賞が初重賞でした。
そこをジャンピングボードに大飛躍し、スプリンターズS連覇の
金字塔を樹立しています。連覇達成は、サクラバクシンオーと
ロードカナロアだけ!ファルクスの凄さが実感されます。

アンシェルは、まだ重賞を勝ったばかりですが、早くも大物の
呼び声が掛かっています。馬場状態に関わりのない“二刀流”に
大きな可能性を認める専門家が多いからです。短距離路線への
転機となった彦根Sが10秒台を4回も刻む良馬場のハイラップを
乗り切ったスピードと、追われてさらに一伸びできる持久力は
天賦の才と言えそうです。不良馬場でもひるまない闘争本能も
大きな武器でしょう。ヨーロッパでも、こうした馬場を問わず
高いパフォーマンスを発揮できる競走馬は、非常に高い評価を
欧州競馬を知り尽くした専門家筋から集める傾向があります。

カルティエ賞最優秀スプリンターに輝いたハリーエンジェルは
堅良のニューマーケットでジュライCを勝ち、不良で行われた
ヘイドックのスプリントCを圧勝した“二刀流”が高く評価され、
栄えある受賞に結びつきました。気候条件や馬場整備に対する
考え方が日本とは違うヨーロッパでは、道悪競馬が珍しくなく
“二刀流”は名馬への道に欠かせない必須条件となっています。

彼の卓越したスプリント適性は、血統的な背景というよりは、
彼自身の烈しい気性ゆえでしょう。父マンハッタンカフェは、
菊花賞と有馬記念を連勝、翌春の天皇賞制覇などステイヤーの
王道の真ん中を歩んだ威風堂々の長距離屋で、種牡馬としては
レッドディザイア、クイーンズリング、ルージュバックなどの
牝馬に活躍馬が多い印象が強く残っています。血というよりは
気で走るタイプなのでしょうか?アンシェルもここまで来るに
大変な苦労を重ねてきました。レース前から人一倍激しく燃え
ファイトしてしまう気性難ゆえ、レースにならなかったことも
一度や二度ではありません。良での一気呵成のスピード勝負や
逆に行きたくとも自然とブレーキのかかる道悪に烈しい気性が
うまくフィットしたのが成功の遠因だったのかもしれません。

しかし庄野靖志先生や福永祐一騎手、スタッフの皆さん全員が
アンシェルの秘める才能の素晴らしさを信じ、可能性の開花に
辛抱強く付き添っていただいた賜物なのは間違いありません。
今度は、中山競馬場のスプリンターズSでお会いしましょう。