「伝説の名馬」と、輝かしい尊称で呼ばれる馬は多いのですが
戦後の混乱期に一瞬明るい光を投げかけて、ダービーを最後に
「幻の馬」の呼び名で社会現象を巻き起こしながら、病を得て
早逝したトキノミノル。戦火が目前に迫る中で行われた戦時中
ダービーをレコード勝ち、オークスと菊花賞も制した変則三冠
クリフジが最右翼に叙せられるのに、誰も異存はありません。
前者は10戦10勝、後者は11戦11勝、負けを知りませんでした。
クリフジは繁殖牝馬としても優秀で桜花賞、オークスの二冠馬
ヤマイチを出し、その姉のイチジョウの系統から血が繋がれて
今も子孫が元気に走り続けています。本当に偉い牝馬ですね。

先日、名古屋競馬場で行われた東海ダービーを8馬身差の圧勝で
逃げ切ったエムエスクイーンが、デビューから不敗の11連勝で
クリフジの大記録に並びました。時代も違えば、中央と地方の
競走環境の差異もありますから、比較することに自体に無理が
ありそうですが、その金字塔の偉大さは燦然と輝いています。
レースの内容も圧巻でした。エムエスに続く人気に支持された
エスポワールシチー産駒の快速ゴールドリングが敢然と本命を
追いかけましたが、3コーナーで早々と疲れ果てズルズル後退、
ブービーに惨敗しました。追いかける馬を潰してしまう速さは
背筋を慄然と凍りつかせるような、凄みにあふれていました。

今後は全国区相手の戦いになるでしょうから、簡単には記録を
伸ばせないでしょうが、ちなみに不敗の連勝記録の日本最高は
アラブのホウネンの16戦16勝、サラブレッドでは荒尾と佐賀で
走ったサンデーサイレンスの良血ツルマルサンデーという馬の
15戦15勝が最高の記録。クリフジとエムエスクイーンの上には
この2頭しかいません。不敗の連勝記録は一度負けてしまうと、
記録自体が消滅してしまいますから、難易度の高さは鉄壁級!

父バトルプラン、母ユキノクイーンはタイキシャトルの娘です
バトルプランは来日直後、その父エンパイアメーカーの導入が
決まり、偉大なる父をライバルに種牡馬生活をスタートさせて
得意分野も地方で8割近い勝ち上がり率をマークしているように
ダートが主戦場であり父と重なるちょっと不運な良血馬です。
しかし初年度産駒から、2歳重賞のサウジアラビアロイヤルCと
東京スポーツ杯2歳Sを連勝したブレスジャーニーを輩出して、
芝での切れ味勝負にも十分対応できる可能性を感じさせます。
マイナーではありますが、今後も注目しておきたい血統です。
愛娘エムエスクイーンが連勝記録を伸ばし続けて、悲運だった
父の名を高め輝かせ日本中に広めてくれると嬉しいのですが。