先週のオークスは、無敗馬ラヴズオンリーユーが歴史的名牝に
その名を連ねるジェンティルドンナやアーモンドアイといった
女王たちが記録した翌週のダービーに遜色のない2分23秒台を
凌ぐ2分22秒8とレベルの高いレコード決着で幕を閉じました。
時計は馬自身より馬場が創る側面が大きいのですが、とは言え
その馬に絶対能力がなければ走り切れるものではありません。
彼女の不敗のオークス制覇はジェンティルにもアーモンドにも
できなかった快挙です。彼女も年度代表馬級の名牝でしょう。

ご存じのように、ディープインパクトXストームキャット系の
黄金配合同士の鮮やかすぎるワントゥーフィニッシュでした。
この組み合わせからは既に過去7頭のG1馬が出ており、今回の
ラヴズオンリーユーで8頭目。その内の4頭はクラシック制覇を
遂げ、真正のクラシック配合と言って差し支えないでしょう。

少し細かく見ると、母がストームキャットの娘であるケースが
7例、ディープの海外クラシック馬第1号である仏1000ギニーの
ビューティーパーラーは、後継馬ジャイアンツコーズウェイの
血でした。彼は昨年惜しくも亡くなりましたがコンスタントに
良駒を輩出するシャマーダル、ロペデヴェガと血を繋いでおり
この系統はさらに発展して、ディープ系との好相性をますます
深めていきそうです。オークスの直線で目を見張らさせられる
激走をしたカレンブーケドールは、その母父スキャットダディ
からヨハネスブルグ、ヘネシーを経てストームキャットに遡る
血統で、母自身がチリのエルダービーで牡馬を向こうに回して
7馬身ちぎるパフォーマンスを披露したウオッカ級の名牝です。
走られてみれば納得するしかないワールド級の良血馬でした。

今週のダービーで、ディープ=キャット系の黄金配合を探せば
ダノンキングリーに行き着きます。ラスト11秒7-11秒6-11秒4と
加速ラップの決め手合戦になった皐月賞は直線の勝負どころで
単騎で内を衝き、馬場中央を通ったヴェロックスと外を攻めた
サートゥルナーリアが併せ馬の形で伸び、僅かクビ+ハナだけ
負けましたが、馬体を併せて競り合うシーンがあれば、さらに
際どかったかも?ただサートゥルナーリアは相当強い馬です。
4ヶ月半ぶりで八分程度に映る仕上げでも、あの競馬ですから、
さらに良くなるはずのダービーは、一段二段パフォーマンスを
上げてくるでしょうから、この馬を負かすのは骨でしょうね。

“令和最初のJRA重賞馬”レッドジェニアルは上位勢と比べると
完成度で一歩譲る印象もあります。本当に良くなるのは秋かも
しれませんが、この時期には信じられない急成長を遂げるのが
優れたサラブレッドの美質です。オークスで想像を超す渾身の
激走を見せた素質馬カレンブーケドールなんかもそうでしたが
その成長の原動力は血統です。ジェニアルの牝系を延々辿れば
名門・小岩井農場の基礎牝馬の1頭であるフロリースカップまで
遡ります。はるばるイギリスから輸入されて明治、大正、昭和
平成、令和と五代百年以上を経ても、ダービー馬を輩出し続け
近年もスペシャルウィーク、メイショウサムソン、ウオッカと
記録にも記憶にも残る時代を映し出す名馬群を生んでいます。
血の神秘を訪ねるのもダービーの楽しみ方の一つでしょうね。