前走のドバイシーマクラシックでは、2着と確かな地力を見せた
シュヴァルグランが、今度は世界を代表するスーパーG1である
キングジョージ=キングジョージ6世&クイーンエリザベスSに
遠征するそうです。春のドバイから初夏アスコットへの転戦は
父ハーツクライと瓜二つ、まったく同じローテーションです。

キングジョージは、おおむね少頭数になることが多いのですが
大馬主と一流厩舎のタッグが送り込むワールドクラスの強豪が
伝説の名騎手を背に迎えて集まることで有名ですが、この年は
例年に増して豪華絢爛でした。クールモアがフランスで預ける
アンドレ・ファーブル厩舎は凱旋門賞でディープインパクトを
破った王者ハリケーンランの鞍上はクリストフ・スミヨンが!
ゴドルフィンの主戦格のサイード・ビン・スルール厩舎からは
春のドバイワールドCを勝ち、ダート・芝を問わず一級の実力を
誇るエレクトロキューショニストと達人デットーリのコンビで
必勝を期します。日の丸代表の橋口弘次郎調教師は当時はまだ
フランスで売り出し中だったクリストフ・ルメールを呼び寄せ
“世紀の一戦”に満を持してゲートインします。ご存じのように
結果は前評判通り直線で三強が抜け出し壮絶な叩き合いの末に
インの経済コースを衝いたスミヨン=ハリケーンランに凱歌が
上がり、デットーリとルメールがわずかな着差で続きました。
馬も立派でしたが、名手同士の駆け引きも見応え十分でした。
勝負のアヤで惜敗しましたが、日本調教馬が世界のスーパーG1
勝利にもっとも近づいた一瞬であり歴史に残る名勝負でした。

それにしてもハーツクライの血は環境適応力に優れているのか
その子孫たちも含め海外に遠征すると驚くほど良く走ります。
ヌーヴォレコルトやリスグラシューが香港で大暴れを見せれば
アドマイヤラクティは南半球オーストラリアでG1勲章を奪取!
ドバイデューティーフリーを圧勝して世界No.1レーティングに
叙せられたジャスタウェイ。そして彼のマスターフェンサーは
先日のケンタッキーダービーで、現地ではブービー人気という
低評価でしたが、直線で追い込んで小差の6着に健闘しました。

セレクトセールで買われアメリカに渡ったハーツ産駒ヨシダは
芝とダートの双方でG1を勝っています。環境への順応力が高く
調教のやり方次第でダートでも力を発揮する血統のようです。
昨年、アメリカでG1を11勝した姉を持ち、兄は名種牡馬という
超良血馬メンデルスゾーンでケンタッキーダービーに挑戦して
敗れたヨーロッパきっての巨匠エイダン・オブライエン師は、
「アメリカ調教馬はあらゆるケースを想定して調教を重ねるが
我々にはダート競馬ではそこまでの経験は未だない」と敗因を
述べています。ハーツクライの血はこの「経験」という価値を
先天的に高める触媒のような効能を秘めているのでしょうか?
資質はシュヴァルグランにも伝わっています。ドバイの無念を
アスコットで晴らす!そんなドラマを見てみたいものですね。