亡くなったり、海外輸出されたり、いなくなった種牡馬の仔は
良く走るという都市伝説めいた言い伝えがあります。データの
裏付けがある訳じゃありません。印象の問題なのでしょうか?
皐月賞の“裏番組”と言っては失礼ですが阪神G3アンタレスSは
アナザートゥルースが前走G3名古屋大賞典で歯が立たなかった
難敵グリムとの一騎打ちを制し重賞初制覇を成し遂げました。
アメリカに帰ったアイルハヴアナザーが日本に残した仔です。

アイルハヴアナザーにとっても嬉しい重賞初勝利になります。
サンデーサイレンス、カリズマティック、ウォーエンブレムと
並び米二冠馬の勲章を首にかけて来日、サンタアニタダービー
ケンタッキーダービー、プリークネスSを3連勝したのは偉大な
サンデーサイレンスと同じで、屈腱炎で三冠目ベルモントSを
断念し引退した直後にビッグレッドファームのオファーを受け
1000万ドル(当時は円安で日本円に換算して約8億円ほど)の
高額で購買され、大きな期待を背負い日本の土を踏みました。

アナザートゥルースは、その初年度産駒ですから考えてみれば
随分と時間がかかったものです。晩成色が強いのでしょうか?
発端は馬主のポール・レッダム氏の生産理論にありそうです。
アイルハヴアナザーとナイキストで、ケンタッキーダービーの
薔薇のレイを6年間に2度も戴冠する超強運に恵まれた方ですが
「アメリカ競馬に関わるすべての人々の目標は、ケンタッキー
ダービーを勝つことで、そのためにスタミナ豊富な馬を生産し
初めてダービーを勝つチャンスが訪れると考えている」という
信念の持ち主です。ご承知のように、ケンタッキーダービーの
出走権威は、2歳秋から半年以上もに及ぶ「ロード・トゥ・ザ・
ケンタッキーダービー」で高ポイントを稼ぐ必要があります。

最近では日本や欧州にも開放された影響で地元アメリカ馬には
ますます狭き門になっているのが実情です。となると早い時期
から競走馬として高い完成度を示すことが多い早熟のスピード
血統が持てはやされることになります。レッダムさんご自身が
語るようにスタミナ重視の馬づくりは「少数派」のようです。

血統的には力の要るダート2000mのG1トラヴァーズSを勝った
フラワーアレイの血筋です。フラワーアレイはトーセンラー、
スピルバーグの半兄ですが、ディープインパクトの仕上がりの
早さや軽さを備えた弟達よりはパワータイプに出たようです。
さて今年のケンタッキーダービーは日本でも初めて馬券発売が
行われます。早熟スピード尊重派とスタミナ重視派のどちらに
軍配が上がるのか?見どころの一つでしょう。レッダムさんが
夢見るアナザーストーリー(もう一つの物語)の始まりです。