ディープインパクトが、今年の種付けを中止するという日本の
競馬産業を震撼させる驚愕のニュースが飛び込んできました。
報道などでご承知のように、腰を悪くして3月以降の種付けを
休止、日本競馬界にとっては「かけがえのない至宝」だけに
大事を取って今シーズンは種付けを中止するというものです。
来年からの種付け再開に備え今季は療養に専念するそうです。
今年種付け済みの20年産ディープ産駒は20頭程度になるとか。
彼や彼女らは2022年にデビューしますが、種付け再開しても
従来の年間250頭以上を相手にするのは控えるでしょうから、
2022年以降のディープ産駒は、ますます希少価値になります。

ディープインパクトの並外れた資質は、とくに2歳戦で発揮され
昨年が55勝、一昨年がキャリアハイの57勝とコンスタントに
勝ち星を重ね、種牡馬デビュー以来、ダイワメジャーに首位を
奪われた15年以外は2歳リーディングサイアーの王座を独占!
仕上がり早く2歳戦から活躍し、クラシックシーズンに生涯の
ピークを迎える最大の美点を武器にデビュー3年目の12年から
堂々7年連続でリーディングサイアーに君臨し続けて来ました。
これらは世界チャンピオン・ガリレオにも共通する美質です。

この間に、通算1862勝、重賞197勝と破天荒な記録を樹立して
偉大な父サンデーサイレンスが打ち立てた歴代最高の金字塔に
迫る立場を確立しました。今シーズン中には重賞200勝は無論
通算2000勝の記録の節目を折り返すことはほぼ確実でしょう。
突然の一時リタイアで関係者が抱え込む悩みは尽きないですが
まず、世界的な広がりを誇るディープインパクトの血統価値を
維持するため、その流出や分散を防ぐことが急務になります。

ディープの血を求めて、例えばサクソンウォリアーとの交配に
日本の優秀な牝馬たちがアイルランド詣でに馳せ参じるなどは
少なくとも関係者にとって悪夢のシナリオそのものでしょう。
また産駒や全兄弟など後継候補馬のシンジケート株を一定割合
保有して影響力を持ち続けることも必要でしょうし、なにより
ディープインパクト系を不動のものとする後継種牡馬の養成が
緊急にして最大のミッションなのは疑問の余地はありません。

30頭近くいるディープ2世の種牡馬たちからは、今のところは
これといって傑出した存在は見当たらないようです。余りにも
父が偉大すぎた不運(?)もあるのでしょうが、とは言っても
後継馬にはディープの種を予定していた世界中の良血牝馬群が
満天にきらめく星座群ように降り注ぐことになるでしょうから
不幸中の幸いと言っては申し訳ないのですが、ことし種付けし
2022年にデビューするディープ系後継馬産駒の活躍次第では
一気に!ディープインパクト系が確立されるかもしれません。

それが、キズナなのか?新種牡馬サトノダイヤモンドなのか?
あるいは思いもかけぬ伏兵が雲を掴んだ昇竜のようテッペンを
目指すことになるのか?競馬の世界では、歴史的な大種牡馬の
後継が競走実績に秀でて期待も大きい本命候補が成功するとは
限らず、傍流と軽視されていた馬が血を繋ぐケースがしばしば
繰り返されてきました。いずれにしろ、日本の馬産界が大きな
転換点に立たされている緊急事態なのは間違いがありません。
ディープインパクトの無事な快復と、その偉業を次代へと繋ぐ
素晴らしい後継馬たちの出現を、心を込めて祈るばかりです。