トーセンラーとスピルバーグの全兄弟サイアーが面白いという
お話をしています。半兄のフラワーアレイはすでにアメリカで
複数のG1馬を輩出、その内の1頭ライラックスアンドレースが
日本で阪神ジュベナイルフィリーズ制覇ラッキーライラックの
母となり、DNAの確かさと日本適性の高さを証明しています。
兄弟だからといって、必ずしも成功するとは限らないのですが
ヨーロッパのサドラーズウェルズとフェアリーキング全兄弟や
日本のブラックタイドとディープインパクトなどが示すように
配合例を学びあうなど確率的に相当の優位性が認められます。

史上もっとも有名な全兄弟種牡馬はファロスとフェアウェイ。
ドルメロの魔術師フェデリコ・テシオは自家生産牝馬ノガラに
フェアウェイの遺伝子を求めて、イギリスへと海を渡りますが
競走成績でも種牡馬実績でも群を抜いていた弟フェアウェイは
ブックフル状態、止むなく全兄ファロスを交配し生まれたのが
名馬ネアルコだったのは競馬史上、余りにも有名な逸話です。

ネアルコは、初年度産駒からナスルーラを出して大ブレーク!
快速ニアークティックを通じてノーザンダンサーの祖父となり
ロイヤルチャージャーの子孫にサンデーサイレンスを輩出して
現代サラブレッドの中興の祖として根幹種牡馬に君臨します。
ミスタープロスペクターも母父ナシュアからナスルーラへ至り
今や祖先にネアルコの血が一滴もないサラブレッドを探すのは
骨が折れる作業となっています。一方、愚兄賢弟と賞賛された
フェアウェイは早々にクラシック馬を次々と出し当代きっての
人気種牡馬となりますが、時代の流れの中で次第に勢いを失い
やがて母系に入ってストリートクライを生み出し、彼を通じて
ゼニヤッタ、ウィンクスといった歴史的名牝を出しています。
歴史が紡ぎ出す答は長い時間を経ないと分からないものです。

兄トーセンラーはマイルチャンピオンシップなど京都コースで
弟スピルバーグは天皇賞秋を含めて全勝ち鞍が東京に集中して
個性も持ち味も全兄弟とは思えない異能ぶりを発揮しましたが
さて仔どもはどんな姿に成長してくるのか?血の伝達と継承の
ドラマは幕を開けたばかり、先の先まで楽しみが尽きません。