今年21歳を迎えたタイムパラドックスが種牡馬生活から引退し
今後は功労馬として余生を送ります。ブライアンズタイム産駒
らしくタフに走り抜き、普通なら引退の2文字がちらつく6歳で
本格化し年明けの平安Sで重賞初制覇、秋にジャパンCダートで
同厩の砂王アドマイヤドンを撃破してG1馬に上り詰めました。
その後はG3で大敗するかと思えばG1には滅法強く、川崎記念
帝王賞、JBCクラシックなどを勝ちまくり獲得賞金を積み上げ
6歳以降に8億4000万円余りを稼ぎ出し、そのカテゴリーでは
タップダンスシチーを抜いて歴代日本一の座に輝いています。

タイムパラドックスも最後のレースとなったJBCクラシックを
勝っていますが、ラストランに強いのもブライアンズタイムの
特徴でマヤノトップガンは天皇賞春で有終の美を飾りました。
高齢になってもエネルギーの衰えを微塵も見せずハイレベルな
能力を持続しつづける稀有なポテンシャルを秘めた血統です。
父ブライアンズタイムは初年度産駒ナリタブライアンの三冠を
筆頭に9頭がクラシック馬となり、合計で12勝を上げています。
それもナリタブライアンの場合、2才時に7戦4勝、3歳時には
7戦6勝と超エリート馬としては異例なローテーションでした。

昨今では余り見かけることが少なくなった実戦を使われながら
ジワジワと成長を重ねていくタイプが多く、トレセンと外厩を
行き来しながら調整する現代風とは一味違って、叩き込まれた
ここ一番で渾身の走りを見せる個性的な馬が揃っていました。
ダートに強く!交流重賞を席巻する産駒が目立ったこともあり
タフで少々の怪我に耐える様は、まさに野武士の風格でした。

三冠馬ナリタブライアンはたった2年供用されただけで夭逝し、
タニノギムレットはウオッカという超大物を輩出したのですが
残念ながら牝馬の身で後継種牡馬はまだ出ていない現状です。
タイムパラドックスも中央馬に遜色ない戦いぶりで交流を含め
地方重賞10勝のソルテを出しましたが今のところこれといった
後継馬を送り出せていません。野武士軍団の行方が心配です。

残るブライアンズタイム系の期待の星は今年15歳と働き盛りの
フリオーソでしょうか。地方年度代表馬に4度選ばれた名馬で
2歳時の全日本2歳優駿に始まり3歳時ジャパンダートダービー
4歳時と6歳時に帝王賞、7歳時に川崎記念とかしわ記念制覇!
晩年は脚部不安と闘いながらの出走でG1級6勝は立派でした。
特筆すべきは、地方馬代表として中央の猛者と闘い続けてG1級
2着11回!の金字塔と讃えられる日本記録を樹立したことです。

引退後はダーレージャパンに繋養、種付け料50万円の手頃感で
人気を呼び、毎年100頭以上の牝馬を集めています。初年度は
高知のフリビオンが大活躍し、今年はヒカリオーソが雲取賞を
快勝して南関東重賞初勝利を成し遂げました。勝ち鞍すべてが
ダート戦と産駒成績が極端ですが、これは配合牝馬の影響とも
考えられ、母系からは英ダービー馬ジェネラスの半妹で日本の
藤沢和雄厩舎で育った良血シンコウエルメスが繁殖に上がって
今やゴドルフィンの至宝とまで言える存在感を示しているなど
芝での活躍馬も目立ちます。エルメスの娘エルメスティアラは
ブライアンズタイム産駒で皐月賞馬ディーマジェスティを生み
その妹レイクトーヤは仏サンタラリ賞馬ソウベツを出し、末妹
スノーパインはタワーオブロンドンの母となっています。今後
シンコウエルメス牝系は世界のホースマンの熱視線必至です。
加えて野武士血統の復活に、熱い期待を注ぎたいと思います。