ベテラン評論家の中には四半世紀も前、1年ぶりの有馬記念で
菊花賞馬ビワハヤヒデを差し切ったトウカイテイオーの勇姿を
瞼に思い浮かべる人もいたようです。先週日曜の中山AJC杯を
勝ったシャケトラが1年余ぶりであり激闘の末2着に抑え込んだ
フィエールマンが同じ菊花賞馬だった偶然の一致だけではなく
25年前の光景が一瞬に脳裏に蘇るほど、感動的なレースだった
ということでしょう。角居勝彦調教師の復帰後初勝利を重賞で
飾ってくれたことが何よりでした。シャケトラにありがとう!
角居先生に心を込めて「おかえりなさい」の言葉を捧げます。

“チーム角居”の仕事には、いつも夢がいっぱい詰まっています。
東日本大震災の想像外の惨禍に日本中が打ちひしがれていた時
ドバイから届いたヴィクトワールピサ圧勝の知らせがどんなに
日本人を勇気づけたことか!誰もが頑張れる!と思いました。
桜花賞で宿敵ダイワスカーレットの2着に敗れたウオッカですが
「オークスかダービーか」決断を谷水オーナーから委ねられた
師は「ダービー行かしてもらっていいですか!」1秒すら置かず
迷いなく瞬時に答えたと伝えられます。ホースマンとしての夢
愛馬の秘めるポテンシャルへの信頼が答えさせたのでしょう。

父タニノギムレットは角居師が松田国英厩舎で調教助手時代に
手がけた馬で同じ谷水オーナーの所有。この父との父子制覇や
名馬クリフジ以来64年ぶりの牝馬ダービー馬など記録づくめの
勝利でしたが、それらを忘れさせてしまうほどウオッカ自身の
強さばかりが際立った一番でした。師が丹精して手塩にかけた
愛馬の非凡なポテンシャルへの直観が証明された直線でした。

メルボルンCで僚馬ポップロックとともにワントゥーを決めた
デルタブルースも忘れられない名ステイヤーでした。不幸にも
長距離適性が嫌われて種牡馬になれませんでしたが乗馬として
リーダーシップを発揮して、元気に頑張っていると聞きます。
こうした馬たちのために、ホースコミュニティという馬と人の
共生組織を設立運営して、地道な社会貢献活動にも熱心です。
こちらは、調教師を引退しても続けられる覚悟だそうですから
皆さんの愛馬たちが、お世話になる日が来るかもしれません。
角居師には今後も夢のある仕事をしていただきたいものです。