新春の3歳重賞G3京成杯は、ラストドラフトがポテンシャルの
高さを誇示して、父ノヴェリストに重賞初勝利を贈りました。
ノヴェリスト(小説家)が全身全霊を傾けた渾身の最高傑作の
ラストドラフト(完成稿)が、表舞台へ姿を現した瞬間です。
日本で少し懐かしい血統になります。父祖ブランドフォードは
1919年生まれで、今年100歳のメモリアルイヤーを迎えます。
無敗の三冠馬バーラム、英ダービー馬ブレニム、その産駒から
芦毛の超良血ダービー馬マームード、凱旋門賞馬ブラントーム
などを通じて血を繋いできた「ダービー馬はダービー馬から」
の格言の理想を地で行くような天晴れなクラシック血統です。

日本では戦前に小岩井農場がブランドフォード直仔プリメロを
破格値で輸入してダービー馬を仔の代で4頭、孫の代でも4頭を
出して大成功しています。直仔から5代クラシック15頭を輩出、
サンデーサイレンスが現れるまで半世紀以上も日本最高記録を
保持していました。ブランドフォードの威光は世界中に広がり
人間の100年は4代目にあたる曾孫がいるかどうかの歳月ですが
馬の100年はさらにサイクルが早くドイツの地に根を下ろした
ノヴェリストはブランドフォードから数えて8代目の子孫です。

戦後46年に東西に分断され再開したドイツ競馬は東ドイツから
3頭の三冠馬が誕生しますが、それらのレースは東西統一後に、
或いは廃止され、或いはリステッドに格下げになり、事実上の
三冠馬は79年のケーニヒスシュトゥール唯一頭が歴史に威名を
残しました。日本で言えばシンザンのような存在でしょうね!
彼の凄さは種牡馬になっても変わらずドイツの異型血脈を求め
クールモアやゴドルフィンが彼らの最良の牝馬たちを送り込み
ヨーロッパ挙げてのケーニヒスシュトゥール詣が始まります。
今日のディープインパクト詣そっくりの光景が生まれました。

90年には、東西統一を祝うように最高傑作モンズーンが誕生!
独ダービーは後にジャパンCを勝ったランドの2着に敗れますが
種牡馬入りして父以上の大成功を収め、シロッコがBCターフを
スタセリタは仏オークスなど6つのG1を制し、繁殖に上がるや、
フランケルのG1制覇世界一番乗りのソウルスターリングを出し
ドイツ血統の国際的評価をさらに高めました。モンズーン系を
未来へと繋ぐ重要な役割を担っているのがノヴェリストです。
英ダービー馬、三冠馬を次々輩出し100年の栄華を誇りながら
今や世界的に絶滅危惧状態?のブランドフォード系を蘇らせた
ラストドラフトの京成杯は久々の快挙でした。最近は種付数を
激減させていたノヴェリストに、再び陽が当たるでしょうか?
リーディングサイアーに君臨するような安定感はないのですが
ここ一番の大勝負に強いのがブランドフォード系の個性です。
個性派の存在は競馬の興趣を高めるスパイスとして貴重です。

クラシック勝利数でサンデーサイレンスに続くプリメロに並び
2番手を争っているのがディープインパクトです。京成杯では
このディープが母父として1-2-3を成し遂げています。母父の
実績を競うブルードメアサイアーランキングを13年連続独走の
サンデーサイレンスに息子がストップをかける日が来るのか?
明日は、このあたりの変化の話題を追ってみたいと思います。