旧年中のお話になりますが、中央カムバックを目指して地方へ
武者修行の旅に出ていたレッドフィオナが、もう1勝すればと
首の皮1枚を残して臨んだ免許皆伝試練の一番が大晦日。
もしここで負ければ中央復帰ハードルは後2勝に上がります。

いったん地方へ転出した馬が、再び中央に復帰できる条件は
昔は5走以上経験を積むか、1勝でOKと今思えば牧歌的で
緩やかなものでした。ところが近年は段階的に復帰ハードルが
引き上げられる傾向が強まっており、5年ほど前、3歳馬までは
2勝以上、4歳になると3勝以上とルールが厳格化されました。

北半球のサラブレッド達は、毎年1月1日に年を重ねますから
大晦日に勝つか正月に勝つかでは、天と地の差が生じます。
年の暮れのフィオナにとっての大一番に向けてキッチリ仕上げ
東海公営史上初の3500勝ジョッキーに輝いた岡部誠騎手を
手配いただき、力強い差脚で晴れて免許皆伝の勝利を飾った
尾島徹調教師やスタッフの皆さんには、感謝しかありません。

地方帰りで印象に残っているのはフェデラリストという馬です。
名牝ダンスパートナーがアメリカに渡り、エンパイアメーカーを
種付けし誕生した期待の超良血馬として話題を呼びました。
しかし彼は新馬戦の骨折で1年近くを棒に振り、再起したのは
地方の船橋、初戦を楽勝して素質の違いを見せつけますが
折しも東日本大震災に見舞われ、船橋競馬は開催中止に!
彼は園田に再転厩して当時の規定だった2勝目を飾ります。
その苦難の武者修行後は田中剛厩舎へ3度目の転厩を試み
心機一転!わずか半年で正月の中山金杯で重賞制覇を遂げ
続く中山記念も連勝して「さすがはダンスパートナーの息子」と
ファンの喝采を浴びます。サラブレッドは血で走り血で成長を
遂げるものだと、改めて思い知らされた記憶が残っています。

フィオナには、まだ課題も色々ありそうですが、ご案内のように
尾島厩舎からの凱旋は橋口慎介厩舎から出直しを図ります。
父君の弘次郎師にはレッドアリオンなどお世話になりましたが
慎介師は開業3年目の新進調教師ですが、昨年はキャリアを
感じさせない父君譲りの繊細にして大胆な馬使いを発揮して
グレイスフルリープがJBCスプリントでG1を、コリアスプリントで
海外重賞を制覇、今年のさらなる飛躍が期待されています。
その一翼をフィオナが担ってくれるようだと嬉しいのですが。