ホーストピックス欄でも紹介の奇跡の上がり馬レッドフレイは
デビュー戦からチークピーシーズを装着されたように多少とも
他馬を気にする精神面の繊細さを持ち併せて生まれようです。
今回の鞍上は、世界のゴドルフィンで不動の絶対主戦を勤める
ウィリアム・ビュイック騎手。盟主のモハメド殿下から絶大な
信頼を得ていると伝えられる名手としてその名を轟かせます。

このレース、テン乗りのビュィックは大外からスタートすると
経験の浅いフレイが他馬を気にせず走りに集中できるかどうか
確かめつつ離れた外めを慎重に追走させ、徐々に馬群に寄せて
1コーナー過ぎで番手をキープ。この時点で勝利へ最初の布石が
打たれたと思われました。しかし競馬は筋書きのないドラマ!
何が起こるか分かりません。ペースが落ち着いたところで一転
モレイラ騎手が動き、強引に捲りかけます。ビュィック騎手が
描いたフレイ勝利へのシナリオを打ち消そうという作戦です。
強烈な捲りに一旦は突き放されたように見えたフレイでしたが
しかしビュィックは動じず、沈着冷静に差を詰め並びかけると
ラスト100mで、一瞬に5馬身ちぎる瞬発力を引き出しました。
馬の気質を手の内に入れ、馬が競馬を嫌いにならないよう気分
良く走らせ、能力を最大限に引き出す技術は凄いの一語です!
殿下の篤く絶大な信頼の背景が分かったような気がしました。

レッドフレイは父ゴールドアリュール、母アウトオブタイム、
母の父がミスワキ系パニスの血統ですが、ミスワキ系は元々が
ミスタープロスペクターから派生した血統で秘めるスピードは
折り紙つき!フレイの母もスプリンターとして活躍し、その父
パニスは今年のブリティッシュチャンピオンズスプリントSを
勝ったサンズオブマリを輩出してG1初制覇を果たし好調です。
アウトオブタイムはミスワキ2X3クロスを内包させています。
サンデーサイレンスXミスワキの配合からサイレンススズカを
出して日本でも大成功しました。フレイは相似した血統構成を
持ち、このあたりが非凡なスピードを生み出しているのかも?

ミスワキ牝馬は何と言ってもアーバンシーの存在が光ります。
自身が凱旋門賞馬だった彼女は、ガリレオ・シーザスターズを
通じてヨーロッパの大レースを次々と制覇して、今や世界中で
もっとも大きな影響力を発揮する名牝です。とくに凱旋門賞の
強さはあり得ないほど素晴らしく、一昨年はガリレオの1-2-3
昨年はシーザスターズを加えて1-2-3-4、そして今年のそれは
1着から8着まで血統表にアーバンシーの名が出て来る馬たちで
独占の快挙を成し遂げ、その底力たるや、恐ろしいほどです。
フレイは幸運にも、この2戦ともに大外発走でした。いずれは
馬ゴミで揉まれる厳しい試練も経験せねばならないでしょうが
ミスワキから伝えられた底力が支えになってくれるはずです。