お昼間には、JRA騎手試験の不合格を告げられ失意のどん底に
突き落とされたジョアン・モレイラ騎手が、陽の落ちた大井の
ナイター競馬・レディスプレリュードでプリンシアコメータを
操って絵に描いたような差し返し劇を演じて見せませました。

好位追走から直線で早めに先頭に立ち、直後を追う地元大井の
ブランシェクールに曝され馬体を併せられ絶体絶命のピンチ!
誰の目にも追う立場の有利さを確信させる流れになりました。
しかし「モレイラ・マジック」劇場の開幕はここからでした。
馬の闘争本能を呼び覚まそうと右鞭を振るってライバルに接近
最後の一滴まで力を絞り出して差し返す大逆転劇を演じます。
良くできたドラマ以上に、易々と人間の想像を超えてしまう!
あるいは裏切る?競馬はこれが見られるから止められません。

一瞬で突き放されたライバルに、盛り返す余力は残っておらず
クビ差を保ったままプリンシアコメータが凱旋ゴールします。
このレースも「モレイラ・マジック」の一つとして長く記憶に
残ることになりそうです。この日、大井に集まったファン達は
本当に良いものを見せて貰いました。うらやましい限りです。

モレイラ騎手はご存じのように、ブラジル出身で、ブラジルと
南アフリカを往復しながら1000勝以上を記録と伝えられます。
その後シンガポールに渡り、1日8勝の快記録を達成しました。
いつしか「マジックマン」と呼ばれるようになりファンの熱い
期待を背負うようになったのも、昨夜の“神”騎乗を見ていれば
分かります。その後、香港に移籍し現地では「雷神」の尊称で
崇められ絶対的存在に君臨したのは記憶に新しいところです。

鞭1本だけを頼りに世界を渡り歩く「流浪の名騎手」ジョアンが
JRAを主戦場とするのを拒む理由はファンに何一つありません。
先輩格ミルコ・デムーロ騎手も免許取得に1年待たされましたが
これも良く分かりません。世界に名を轟かせる彼らに、今さら
筆記試験を通して何を求めようとしているのか?ジョッキーは
馬を扱う知識と技術、人間としての誇りと品格を備えていれば
それ以上、求めるべきものは何もないだろうと思うのですが。

今回の騎手試験では、藤井勘一郎騎手が無事合格しています。
この人もオーストリア、韓国、シンガポールなどを渡り歩いた
苦労人ジョッキーです。競馬を愛していてジョッキーの仕事に
やりがいと誇りを感じているんでしょうね。良かったですね。
機会があればレッド軍団の勝負服を纏って貰いたいものです。