ご存じのように凱旋門賞の登録は、ゴールデンウィーク明けに
設定され、レースの4日前、水曜日の夕刻に追加登録を含めて
最終的に締め切られます。5月時点ではデビュー間もない馬も
いて、まだ海のものとも山のものとも分からない?というのが
関係ホースマンの本音でしょう。それが夏を越して凱旋門賞の
頂きが遠目にも見え始めると追加登録判断が課題になります。
今年は、ディフェンディングチャンピオン・エネイブル女王の
強敵として急浮上しているシーオブクラスがまだ未登録です。
追加登録料は12万ユーロ≒1560万円と破格ですが、馬主さんと
ウィリアム・ハッガス調教師が、今夕最後の決断を下します。

昨年もエネイブルが追加登録料を支払い最後の最後でギリギリ
出走に漕ぎ着け、見事に栄冠を射止めています。7年ほど前の
デインドリームも追加登録料で出走、5馬身ぶっちぎり勝ちの
激勝を飾っています。破格の大枚を払っても出走するからには
それなりの手応えや自信の裏付けがあってのことでしょうから
激走の可能性は高くなるようです。馬券上、見落とせません。

登録締め切りの5月上旬時点のデインドリームは牡馬に混じって
伊ダービー3着の実績はありましたが、まだ1勝馬の身でした。
イタリアの競馬レベルを考えれば凱旋門賞云々を口にするには
まだ早過ぎる、と馬主も調教師も判断したのでしょう。その後
彼女は力をつけベルリンとバーデンで2400mのG1を連勝すると
社台ファームに権利の半分を購買されるチャンスにも恵まれて
追加登録料を支払う決断がなされました。日本のホースマンが
彼女の凱旋門賞制覇に、一役買ったというのは良い話ですね。

エネイブルの5月上旬時点は登録締め切り同日にリステッドを
勝ったばかりでした。G1どころか未だ重賞経験すらない無名の
存在でした。その一介の牝馬が、あれよあれよという間にG1を
連戦連勝するのですから、サラブレッドの成長力というものは
謎のヴェールに包まれた神話の彼方に棲息しているのでしょう。

今年のシーオブクラスの場合も、4月中旬にやっとデビューし
信じられないことに、5月上旬時点では未勝利馬の身でした。
それが一戦毎に目を見張らされる成長を遂げて、愛オークスに
続いてヨークシャーオークスで直線で鬼気迫る追い込みを決め
エネイブルのデットーリ騎手を「ベリー・デンジャラス!」と
震え上がらせました。ステイヤーとしての完成度の高さ深さは
エネイブルに一日の長がありそうですが追われても追われても
力強く伸びるシーオブクラスの鬼脚は天下無双の切れ味です。
新旧の追加登録馬対決が楽しみでならない今年の大一番です。